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校長室だより

令和6年度 卒業証書授与式(校長式辞)

昨日までの春の陽気とは一転、まるで卒業生との別れを惜しむかのような名残雪が舞う中、PTA会長 長岡伸賢様、同窓会長 和田宏司様をはじめとするご来賓の皆様のご臨席を賜り、令和6年度卒業証書授与式を、かくも晴れやかに、そして盛大に挙行できますこと、誠にありがたく、心より感謝申し上げます。

さて、卒業証書を手にした「はなうめ学年」 九十九名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様の喜びもひとしおのことと思います。先程、一人一人に卒業証書を渡しながら、過ぎ去った日のことが思い出され、感極まるものがありました。

私は、この一年間、皆さんが、『「楽しい」を創り出す』を合言葉に、最高学年として充実した学校生活を送る姿を見てきました。「楽しい」を創り出し、思わずこぼれる皆さんの笑顔や歓声、ガッツポーズ、そして何より、達成感に満ちたその場の雰囲気。どれもが素敵でした。よくその傍らで、青柳先生・奥山先生・中村先生・嵐田先生が、ニコニコとうれしそうな表情をしていましたね。

はなうめ学年の皆さんが素晴らしかったのは、どのような場面や状況であったとしても、「楽しい」を創り出しながら、自分自身を一回りずつ成長させてきたことです。

圧巻だったのは、みのり班の班長として取り組んだみのりSFの大縄跳びでの姿でした。その時の皆さんは、まず、この大縄跳びでの「楽しさ」を「全員が跳べること」ととらえ、その後、試し跳びを行い、その結果から誰にどのようなアドバイスをしたらよいのか考え、一緒に練習をしたのでした。そして、その取り組みの過程で、皆さんは、問題を解決する力や相手の立場になって物事を考える力、挑戦しようとする気持ちなど、実に多くの力を身に付けることができたのです。

これはもちろん、みのり班活動に限ったことではありません。クラスの仲間と学び合い、新たな世界を知ったり、できなかったことができるようになったりすることが「楽しかった」日々の授業。自己記録更新をめざし切磋琢磨することが「楽しかった」陸上記録会や水泳記録会。自分たちの判断のもと函館市内を行動し、グループ別に研修を深めることが「楽しかった」函館修学旅行。聴く人の心を揺さぶる程の実力を身に付け、それを表現することが「楽しかった」合唱部と弦楽部の活動。このように挙げてみると、あらゆる活動が当てはまり、はなうめ学年の皆さんにとっての「楽しい」とは、「できる」「視野が広がる」「可能性がある」といった、これからの自分の成長そのものと深く関係するものであることがわかりました。

あとここでもう一つ、ぜひ考えたいことがあります。それは、ある目標を掲げて活動へ取り組めば、誰であっても、はなうめ学年のみなさんのように、自ずと結果を出せるのかということです。みなさんは、どのように考えますか。私は、必ずしもうまくいくわけではないと考えます。それは、はなうめ学年の皆さんの場合、一人一人に、学年の木「はなうめ」の花言葉「清らかな心」がしっかりあったことが要因であると考えたからです。
 心は、人間の感情や意志・判断などの働きのもとになるものです。それぐらい大事な働きをするものですから、心は、清らか、つまり、きれいであった方が好ましいわけです。はなうめ学年の皆さんは、本校に在籍した六年間の中で、自分の中に「清らかな心」を大きく育んできました。その清らかな心があることにより、みのり班やクラス一人一人のよさを大切にする・誰に対してもやさしく温かく接する・前向きに物事に取り組むなどの言動をとることが自然になっていて、「楽しい」を創り出す際の土台になっていたのだと思います。
 ですから、「はなうめ学年」の皆さん一人一人には、これからも「清らかな心」を大切に育み抱きながら、附属小学校の卒業生としての誇りをもち、夢や目標の実現に向け、力強く歩んでいってほしいと思います。

保護者の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
 どれほどこの日を心待ちにていたかと拝察いたします。制服を纏い、大きなランドセルを背負って入学してから六年間の月日が経ちました。これまでの成長を振り返りながら、今、このように立派に成長したお子さんの姿に、感慨もひとしおのことと存じます。途中、およそ三年間に渡りコロナ禍による制約を余儀なくされましたが、子どもたちが困難をしなやかに乗り越え今に至るのも、保護者の皆様のおかげです。これまで、本校の教育活動へ多大なご理解とご協力をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、いよいよお別れのときです。
 附属小学校で過ごした六年間で得た数々の思い出を胸に、未来へ大きく羽ばたいてください。山形の未来、日本の未来を拓いていくのは、皆さん一人一人です。巣立ちゆく皆さんの前途に幸多からんことを祈念いたします。

結びになりますが、本日ご臨席をいただきましたご来賓の皆様はじめ、保護者の皆様には、今後も変わらぬご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

令和7年3月19日 山形大学附属小学校 校長 武田 重泰