掲載日：2024.04.09

　令和６年4月９日(火)、本学の江目宏樹准教授（機械システム工学科）・関根智仁准教授（有機材料システム研究科）の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞が決定しました。
　この表彰は、「科学技術に関する研究開発、技術振興、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与すること」を目的として文部科学省が定めているもので、江目准教授及び関根准教授は萌芽的、独創的かつ高度な研究開発能力を有する若手研究者を対象とする「若手科学者賞」受賞者として選ばれました。

【江目准教授の研究について】
　対象となった業績は「光熱変換過程の解明とスペクトル熱制御機構に関する研究」。
　この研究により、理論的な最適化設計手法を確立し、持続可能な社会の実現に資する自由自在なスペクトル制御技術として、熱くなりにくい黒色コーティング（冷たい黒）を開発しました。ふく射の「波長選択制御」を実現したことで、黒色を維持しながら太陽光下で一般的な黒色塗料よりも10℃以上低い温度を維持できます。また、光が熱に変換される超短時間現象を詳細に検証し、熱振動に対して、入射光の情報が失われることなく反映されることを示しました。
　本研究成果は、熱輸送制御技術の変革、電磁波のエネルギー形態の変遷を利用した技術の革新、省エネルギー化および気候変動に柔軟に対応する社会の構築に資すると期待されています。

【江目准教授のコメント】
　この度、本学にご推薦いただき、このような名誉ある大変光栄な賞を頂くことができました。これもひとえに、日々支えてくれた家族・親族・友人たち、研究を頑張ってくれている研究室の学生・これまでの卒業生、共に研究に従事し、ご指導いただいている先生方、ご推薦頂きました先生方、研究環境を支えてくれている事務職員をはじめとした数多くの皆様のおかげと存じます。心より感謝申し上げます。誠にありがとうございます。今後も微力ながら、科学技術の発展に貢献したいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

【関根准教授の研究について】
　対象となった業績は「複合有機材料の機能化と生体模倣型触覚デバイスに関する研究」。
　この研究では、ヒトの皮膚を模倣した電子人工皮膚のための機能性有機材料の複合化とそのセンサデバイス応用、およびそれらの原理検証に関する包括的な成果が評価され受賞に至りました。
　これまでは、複合化された有機材料は溶液中で過凝集するなどの化学的な課題が問題視されており、触覚センサデバイスへの展開が困難とされていました。本研究では、材料のミクロな相分離構造に着目することで、当該凝集効果を克服し、高機能デバイスを実現しました。これにより作製された柔らかい有機触覚デバイスは、ロボットに触覚機能を与えるデジタルスキンや、「体験」の情報を即時通信できる医工連携を基軸とした遠隔手術システムなどへの応用が期待できます。

【関根准教授のコメント】
　この度は、文部科学大臣表彰若手科学者賞を賜り大変光栄に存じます。これまでご指導頂いた先生方やスタッフの皆様、ともに切磋琢磨した同期や学生の皆様、そして日々支えてくれる家族に深く感謝申し上げます。
　有機材料科学と触覚デバイス工学は、化学を基軸とした学際的領域の学問です。本受賞を励みに、本領域の更なる発展と可能性を探求し、魅力ある研究開発を行いたいと思います。今後も研究と教育の両面に尽力致したく、引き続きご支援ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

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