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極性のある揮発性有機化合物(VOC)を吸着する結晶性材料を開発

掲載日:2020.04.21

国立大学法人弘前大学
国立大学法人山形大学
国立大学法人長岡技術科学大学

本件ポイント

  • アセトンや酢酸エチルなど極性のある揮発性有機化合物を吸着する結晶性材料を開発し、吸着メカニズムを分子レベルで解明しました。
  • 本研究成果は、揮発性カルボニル化合物の吸着と脱離に関して、活性炭の抱える課題を克服する材料の開発コンセプトを新たに提案するものです。
  • 今後、このコンセプトに基づく様々な吸着材料や分離材料など新材料の開発が国内外において進められると期待されます。

概要

 弘前大学大学院理工学研究科の太田俊助教、山形大学学術研究院の石﨑学講師、長岡技術科学大学大学院工学研究科の戸田智之助教らの共同研究グループは、アセトンや酢酸エチルなど極性のある揮発性有機化合物(VOC)を吸着する結晶性材料を新たに開発しました。
 VOCは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称です。VOCの多くは、健康被害や大気汚染を引き起こすため、VOC排出抑制技術の開発が求められています。そのような技術の一つである「吸着技術」においては、既に、活性炭が工業的に利用されていますが、揮発性カルボニル化合物の吸着や脱離については課題も残されています。
 共同研究グループは、「水素結合ネットワークがその課題を解決するのではないか」という独自の発想に基づき、ある種のニッケル化合物が水素結合ネットワークを形成した結晶を作製しました。そして、この結晶が、揮発性カルボニル化合物の吸着と脱離を可逆的に行うことを明らかにしました。さらに、吸着と脱離のメカニズムを分子レベルで解明することにも成功しました。
 本研究成果は、揮発性カルボニル化合物の吸着と脱離に関して、活性炭の抱える課題を克服する新材料のコンセプトを提案するものです。今後、国内外において、このコンセプトに基づく様々な水素結合ネットワーク構造体が開発されるものと期待されます。
 本研究成果は、米国化学会『Crystal Growth & Design』にオンライン掲載されました(2020年4月20日)。また、本研究で開発した材料およびその関連物質について、現在、特許を出願中です(特願2018–178913(出願日:2018年9月25日)および特願2019–170452(出願日:2019年9月19日))。

詳しくは、こちらの資料をご覧ください。

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