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令和3年度YU-COE(山形大学先進的研究拠点(C)) 「数物連携ポストナノクリスタル材料研究拠点」

掲載日:2021.07.01

本件のポイント

  • 半導体分野では“邪魔者”とされていた結晶内の欠陥、粒界、相分離構造(※1、2)を積極的に利用した、常識を打ち破る材料開発を研究しています。
  • 異なる研究分野の連携、融合による共同研究創発の場を提供するとともに、地球規模で抱える課題解決へ向けて研究を進めています。

概要

 ナノ材料精密合成を基盤として数学・シミュレーション・機械学習などの異分野研究の連携により、ナノサイズ(10-9m)の無機結晶を精密・自在に配列・集合した新規材料群の創成を目指した「数物連携ポストナノクリスタル材料研究拠点」が山形大学先端的研究拠点(C)として採択されました。

詳しくはこちら(プレスリリース)をご覧ください。

研究概要

 古代の生活を支えた土器の発展、産業革命を支えた製鉄技術の発展など、我々の文明の発展の背景には、材料の発展が必要です。現在の情報社会も半導体の開発が必要不可欠でした。しかし、多くの研究者らによる成果により、現在の元素の組み合わせや欠陥などを排除する完全結晶を中心とした材料開発は成熟しつつあります。
 本研究拠点では、これまで半導体分野では“邪魔者”とされていた結晶内の欠陥、粒界、相分離構造を積極的に利用した常識を打ち破る材料開発を目指し、研究を続けています。その実現に向けて、代表者が開発したナノ結晶の精密無溶媒合成法(※3)を基盤技術として、数学・コンピューターシミュレーション・機械学習など、これまで交わることの少なかった分野を専門とする研究者の連携により、CO2の資源化技術を実現する革新的触媒開発など、地球規模で抱える課題解決へ向けて研究を進めています。

 

研究活動の達成目標

 国内外の研究機関と実施している複数の共同研究を基盤として、令和4年度末までの研究活動により以下の目標を達成することで、拠点形成を目指しています。

  • 究極のナノ結晶合成技術の完成とナノ結晶ドメインの形状・サイズの自在制御技術を達成する。
  • 数学的手法を用い、従来の大型分析機器を用いても解析できない構造評価法を構築する。
  • 上記の構造評価法を元に、ナノ結晶の集積・配列条件探索へ向けた大規模データベースの構築および機械学習を通じた集積構造の作成。
  • コンピューターシミュレーションを元に、欠陥構造・異相界面・相分離構造に隠された異常物性・協奏機能を探索。
  • 欠陥構造・相分離構造を積極的に利用した革新的触媒材料の開発および高圧環境を積極的に利用した触媒反応プロセス開発によるCO2資源化技術の開発
  • 数学者・材料科学者が互いの専門分野を学ぶ勉強会を定期開催し、新たなターゲットの探索や新規の共同研究創発の場を提供し、数学・材料科学の融合分野の発展の加速を目指しています。

用語解説

1.粒界:結晶の粒と粒を接合した際に形成される境界のこと
2.相分離構造 : 異なる二つの相(例えば水と油)が分離している状態。ここでは、異なる材質により分離した構造
3.精密無溶媒合成法:金属錯体を直接熱分解しナノ粒子を合成する手法。1nmの精度でサイズ調整可能。溶媒を使用しないため、廃液量を激減できるため環境調和型の合成法。

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