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令和3年度YU-COE(山形大学先進的研究拠点(C)) 「モニタリングから診断までを担う スマートオーラルヘルスマネージメント研究拠点」

掲載日:2021.07.01

本件のポイント

  • 山形大学が有するスマート技術を用いて、あらゆる口腔疾患をモニタリング・スクリーニングする唾液センサを開発する。
  • 山形大学が有する人工知能技術を用いて、あらゆる口腔疾患を知識や経験によらずに診断することができる口腔診断機器を開発する。
  • あらゆる口腔疾患を、早期診断・早期治療へとつなげることで、患者の生活の質(QOL)や口腔がんの生存率を大きく向上させる。

概要

 本研究拠点は、山形大学が有するスマート技術・人工知能技術を用いて、あらゆる口腔疾患のモニタリングから診断までを網羅する「スマートオーラルヘルスマネージメント」を行う体制の構築を目指す。
 具体的には、スマート技術による唾液センサを開発し、あらゆる口腔疾患のモニタリング・スクリーニングを行う。また、人工知能を搭載した口腔診断機器を開発することで、あらゆる口腔疾患の高精度診断を、知識や経験によらずに可能にする。これらにより、偽陽性患者を最小限にして遅滞なく基幹病院に紹介するという、口腔疾患の包括的マネージメント体制を確立させる。
 そして、口腔がん患者の生存率や患者のQOLを劇的に向上させることが、本研究拠点の最終目標である。

詳しくはこちら(プレスリリース)をご覧ください。

背景

 口腔は、直接目に見える領域であるため、病変が小さいうちにすぐ見つかるという誤解が一般的になされている。しかし現実的には、大きく進展した口腔がんや、顎骨の拡大切除を余儀なくされる良性腫瘍や炎症性疾患の患者は決して少なくない。口は「食べる」「飲み込む」「話す」という機能があるだけでなく、顔を構成する一部分であるため、生活するうえで重要な機能の障害と審美障害が治療によって生じ、QOLが大きく低下してしまう可能性がある。特に口腔がんについては、その最たる例である。そこでわれわれは、唾液を用いて様々な疾患を簡便にスクリーニングするという研究を行ってきた。しかし測定方法は質量分析装置による測定であり、決して簡便な測定とは言えなかった。またスクリーニングに伴う偽陽性に関しても、無視できない問題であった。そこでわれわれは、簡便に唾液中物質を測定できる簡易唾液センサの開発に着手した。また唾液によるスクリーニングにとどまらず、高精度な診断までを包括的に行うべく、診断機器の開発に着手した。

研究手法・研究成果

 質量分析装置をベースとした網羅的高感度測定技術を用いて、口腔がんを高精度にスクリーニングできる唾液中の候補物質を同定した(特願2020-114257、特願2020-114258)。また人間が特徴量を設定する従来型の分類と、近年の人工知能分野で注目されている深層学習による分類を組み合わせた独自のハイブリッド型分類手法により、口腔がんの画像を高精度に判別できるソフトウエアを開発した(特願2020-194146)

今後の展望

短期的には、口腔がんや口腔がんのなりかけの病変を簡便に検出することができる唾液センサの開発を行う。また、その唾液センサを用いて拾い上げた口腔がん疑い病変を、高精度に診断する口腔がん診断機器の開発を行い、それらの社会実装を目指す。そして中・長期的には、口腔がんだけではなく、患者のQOLを低下させる可能性がある全ての口腔疾患を対象とした機器の開発を行い、患者のQOLの向上へ寄与する。

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