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有機ELの技術を活かした高臨場感リモート診察システムの運用開始

掲載日:2021.10.07

本件のポイント

  • 文部科学省COIプロジェクト※1の快適空間創造部門にて、部門長の山形大学城戸淳二教授(有機エレクトロニクス/有機材料システム研究科担当)が有機ELディスプレイと有機EL照明を使用した高臨場感なリモート診察システムを開発した。
  • 実証実験として、介護老人保険施設である社会福祉法人米沢弘和会サンファミリア米沢に設置し、運用を始めた。
  • 10月11〜13日には酒田市の日本海総合病院、松山診療所と飛島診療所に設置し、運用を始める。

概要

 山形大学では、文部科学省COIプロジェクトの快適空間創造部門で有機ELディスプレイ、有機EL照明の研究開発を行ってきた。このたび、有機ELディスプレイの高画質、白色有機EL照明パネルの高演色性を活かした応用として、リモート診察システムを開発し、実証実験として、社会福祉法人米沢弘和会サンファミリア米沢に設置して、改良を加え、9月17日より本格運用を始めた。今後、現場の意見を取り入れながら更なる改良及び高機能化を行う。また、COIプロジェクト参画企業であるNTT東日本と共同で10月11〜13日に酒田市の日本海総合病院、松山診療所と飛島診療所を本リモート診察システムに設置して運用を開始する。なお、本システムは、実証実験の結果を踏まえ、有機EL照明器具等企画開発製造販売会社 オーガニックライティング株式会社(山形県米沢市)より、年内をめどに製品化を予定している。

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背景と経緯

 コロナ禍において介護施設や病院での感染クラスターの発生が大きな問題となっている。そこで、医師と利用者、患者が直接対面する事なく、また遠方からでもすぐに診察できるリモート診察システムの導入が急務となっている。しかし、現在のリモート診察システムは、単にパソコンやタブレット、スマホなどで、医師と患者らが会話をするだけの機能しかなく、顔色など病状の診断に不可欠な情報が不足している。
 本システムでは、より高臨場感な診察を可能にするために、演色性の高い白色有機EL照明で患者らを照らし、医師は高画質の有機ELディスプレイを使用することにより、自然に近い色合いで顔色や表情などを観察することができるようになる。まず、サンファミリア米沢の館内でオフィスの医師と利用者を繋いでリモートで診察し、さらには外部の医師のクリニックと入居者を繋ぐまで発展させる。
 また、無医村でのへき地医療においても、リモート診察は住民の安心、安全な生活に不可欠であり、まず無医島である酒田市沖の飛島の診療所と酒田市の日本海総合病院、松山診療所をリモート診察システムで繋いでの実証実験をNTT東日本との共同で開始する。今後、日本国中に本システムを普及させることにより、医師不足で悩む地方での安心した暮らしが期待できる。

参考

オーガニックライティング株式会社(山形県米沢市):
<事業内容> 有機ELデザイン照明機器・オブジェ等の応用商品の企画・デザイン・開発・販売。
2009年設立の山形大学発ベンチャー。

用語解説

※1.COIプロジェクト: センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムとは、文部科学省が基礎研究段階から実用化を目指した産学連携による研究開発を支援するものです。10年後の目指すべき社会映像を見据えたビジョン主導型のチャレンジング・ハイリスクな研究開発を支援しています。(実施期間:2013年度〜2021年度)

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