ホーム > 新着情報:プレスリリース > 2021年11月 > 学長定例記者会見を開催しました(11/4) > 本学学生が最新AI翻訳エンジンの開発に貢献 ~卒業生が経営する企業からの受託事業を実施~

本学学生が最新AI翻訳エンジンの開発に貢献 ~卒業生が経営する企業からの受託事業を実施~

掲載日:2021.11.04

本件のポイント

定期的に実施しているオンラインミーティング風景の画像
定期的に実施しているオンラインミーティング風景

  • 今年7月にトランスユーロ株式会社(東京都千代田区)と受託事業「訳文データ(原文・訳文)の量に応じたAI翻訳エンジンによる翻訳精度の変化」契約を締結。
  • 本事業は鈴木亨教授(英語学/人文社会科学部担当)が受託し、同学部の学生9名が、AI翻訳エンジン(日英・日独)の訳文データの処理と翻訳精度の確認に携わり、最先端の技術開発に貢献。
  • 同社代表取締役の井口雄一氏は本学人文学部の卒業生であり、翻訳エンジンの開発という貴重な事業を本学に委託

概要

山形大学は、令和3年7月6日にトランスユーロ株式会社(東京都千代田区)と受託事業「訳文データ(原文・訳文)の量に応じたAI翻訳エンジンによる翻訳精度の変化」契約を締結しました。
本事業は鈴木亨教授(英語学/人文社会科学部)が受託したもので、同学部の学生9名が、AI翻訳エンジン(英日・独日)の訳文データの処理と翻訳精度の確認に携わり、最先端の技術開発に貢献しています。
同社代表取締役社長の井口雄一氏は本学人文学部の卒業生であり、翻訳エンジンの開発という貴重な事業を本学に委託されました。学生にとっては、最先端の技術開発事業に貢献できるとともに、コロナ禍でアルバイトが減少する中、本学のアドミニストレイティブ・アシスタント(※1)として雇用することで、経済的支援にもつながりました。

プレスリリース資料はこちら

【受託事業概要】
 
委託者:トランスユーロ株式会社 東京都千代田区東神田1-2-2
     代表取締役 井口 雄一 氏(平成4年山形大学人文学部卒業)
 事業内容:特許翻訳、技術翻訳、法律文書翻訳など、主にドイツ語・英語全般に関わる翻訳業務
 事業題目:訳文データ(原文・訳文)の量に応じたAI翻訳エンジンによる翻訳精度の変化
 事業担当者:学術研究院(人文社会科学部担当)教授 鈴木 亨

関係者のコメント

トランスユーロ株式会社 代表取締役 井口 雄一 氏
1.山形大学に委託した理由
今回のプロジェクトは2020年の年明けからスタートさせております。当初は単独での開発を優先し、自社の社員のみで対応することを想定しておりました。しかし、業務繁忙が続いたことにより、開発の遅れが懸念されたことから、外部団体との協働を模索するようになりました。その際、新型コロナウイルスの蔓延という予想だにしなかった逆風により、企業活動は勿論のこと、日本の将来を担う学生の就業環境も厳しい状況に置かれている現状を考えるに至り、卒業後もお付き合いをさせて頂いている貴学にお声がけをさせていただきました。

2.事業の進捗状況
順調に進んでおり、現在、プロトタイプは出来上がっておりますので、これを3つのフェーズに分けて、Ver 01、Ver 02、Ver 03と段階的に進化させていく予定です。今のところ、以下のようなスケジュールで開発を進める予定でおります。

 

Ver 01

Ver 02

Ver 03

英日

2021/10

2021/11

2022/1

独日

2021/12

2022/3

2022/5


3.今後の展望等
今後も事業を継続しながら、Ver 03以降も見据えた計画を持ちたいと思っています。学生にお願いをしている作業については、「言語」に対する知識は勿論のこと、ある程度の「慣れ」が必要になってきます。今後は、彼らが後輩にノウハウを継承し、安定的にこの作業を行っていただけるようになれば非常に心強いと思っています。

学術研究院(人文社会科学部担当)鈴木 亨 教授
近年AI翻訳の発達は目覚ましく、私たちは社会生活の様々な場面で、時にはほとんど気づかないままに大きな恩恵を受けています。大学の授業でも学生が英語を使用する際に、機械翻訳を活用していることは自明の事実です。一方、言語の研究者としては、少なくとも現時点では、誰かが最終的にきちんとチェックをしなければいけないという意味で、AI翻訳への無自覚な依存は大きな気掛かりでもあります。そのような科学技術と人間がせめぎあう最先端の現場に、本事業を通じて山形大学の学生たちが微力ながらも関わることができるということは、とても貴重な体験となると思います。

人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース3年 柳山 竜輝(事業に参画しての感想) 
我々の作業である翻訳データの照合によってAIが学習し、翻訳の質が改善されていったことに喜びとやりがいを感じました。人の手なくしてAIが成長できないことや機械翻訳の改良の難しさを肌で感じることができ、AI技術の実態を知ることができたと思います。先行するAI技術に微力ながらも携わらせていただけたことは私にとってとてもいい機会になりました。本事業のAI翻訳が今後どこまで成長するのか楽しみです。

人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース3年 阿部 遥香(事業に参画しての感想) 
訳文データには、授業などで目にする英文とは違った、特許特有の表現が多く見られ、いつも新鮮な気持ちでデータの処理に取り組んでいます。特許のジャンルは多岐にわたっており、毎回新しい英単語を見つけられるところが楽しく、勉強になります。このようなプロジェクトに携わらせていただき、貴重な経験ができていることをとても嬉しく思います。

※用語解説
1.アドミニストレイティブ・アシスタント:修学に支障のない範囲において、本学の業務・事業に本学の学生を参画させることにより、学生支援業務等の充実と学生の就業意識の向上を図り、また、学生に対する経済的支援を目的とした本学独自の制度。

 関連リンク

  • シェア
  • 送る

プレスリリース一覧へ