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エリアキャンパスもがみ 山形大学舟形プロジェクト ~大学での地産地消の可能性を探る~

掲載日:2022.01.13

本件のポイント

  • 山形大学は、地域に近い大学であり地産地消や地域振興を実践しやすい環境である。しかし管見の限り、大学自体を地産地消の市場と捉え、その可能性について調べた例は少ない。
  • 学生有志が山形県舟形町の食材を使ったメニュー「舟形野菜かき揚げ丼」(※2)を考案し、学生食堂(厚生会館(※3))と連携し販売した。
  • 大学は地産地消の市場として十分な可能性があることが分かった。

概要

 基盤共通教育の選択必修科目「山形から考える」の「フィールドラーニングー共生の森もがみ」は、自然豊かな山形県最上地域でのフィールドラーニングを通して、地域の文化や歴史、自然、環境等だけでなく、過疎化や少子高齢化等の諸問題を地域の人たちと共に学び、実践的な視点から知識を獲得し、山形から日本、世界及び過去から現在、未来の空間及び時間軸で現象を把握する力を養うことを目的としている。
 この講義において、私たちは舟形町の課題発見・解決案の提案をおこない、その課題として「農業人口減少による農村の衰退」、解決案として「人、特に若者への町の魅力の周知」と考えた。この解決案の実証するため、有志が集まり、「若者間での舟形町の認知度を上昇させ、大学が地産地消のための市場になり得るか否か」について、舟形町の食材を使用したメニュー「舟形野菜かき揚げ丼」の提案と販売、アンケート調査を実施した。今後は舟形町などでの成果発表を想定している。

詳しくはこちら(プレスリリース)をご覧ください。

背景

 「フィールドラーニングー共生の森もがみ」の講義プログラムで舟形町を実地訪問して課題発見を行ったた。講義終了後、履修者有志(1年次)、サポーター(※4)(3年次)で舟形町に対する課題検討・解決策提案を目的に、「山形大学 舟形プロジェクト」を発足した。その課題は「農業人口の減少による農村の衰退」であり、特に若者へ町の魅力を周知することが必要であると考えた。これらの考えを講義のみで終わらせずに、提案を実証したいという思いを強く持ち続けた有志の班員によって、講義修了後に当団体である舟形プロジェクトを立ち上げ、舟形町教育委員会、堀内農産、山形大学厚生会館の協力を得て活動した。
 この活動は山形大学並びに山形大学校友会「山大生の活動支援プロジェクト(V)!」より活動資金を提供していただいた。

調査の手法・成果

 若者の間での舟形町の認知度を上昇させ、大学が地産地消のための市場になり得ることを検証するために次の順に調査を行った。
(1)食事を厚生会館で提供する前後で1年生を対象にした舟形町の認知に関するインターネット上アンケート
(2)舟形町(堀内農産提供)の野菜を使った「舟形かき揚げ丼」を厚生会館の食堂において提供
(3)購入者を対象としたアンケート
(4)分析
得られた解答から次のことが分かった。
・91%の人がもう一度「舟形かき揚げ丼」を食べたいと答え、全回答者の17%が二回以上食べたと答えた。
・98%の人が地域の食材を大学で食べてみたいと答えた。
これらから大学は地域の食材のよい市場になると考えられる。なお、(1)の1年生全員を対象にしたアンケートは十分な回答数を得られなかった。

今後の展望

 「舟形野菜かき揚げ丼」は販売されたすべての日で完売した。また調査結果より、大学が地産地消の良い市場になり得ることが示された。ただし、今回の調査として不足したのは、他大学食堂と比べ利用者層が限定される厚生会館を対象にしたため、バイアスがかかっている可能性はある。また、アンケート結果から「舟形野菜かき揚げ丼」を食べようと考えた最大の理由は「価格である」と答えている人がすべての日で80%を超えていて1位であるため、低価格であったことが良く売れた要因であったと考えられる。しかし今回は、堀内農産のご厚意での野菜提供であったため低価格が実現されており、持続可能な地産地消メニューにするためには価格を考える必要があることがわかった。
 今回のような地産地消プロジェクトを来年度以降も継続し、認知度の上昇や商品の適正な価格帯について調査したいと思うが、さまざまな学部で構成されるメンバーのキャンパス移動や時間確保が課題である。しかし、新入生の中でこのプロジェクトに興味を持ってくれた方がいるならば、ぜひ引き継いでもらいたい。

 最後に、この活動にご支援頂いた、舟形町教育委員会、堀内農産、厚生会館、資金援助いただいた山形大学校友会の皆様に御礼申し上げます。

用語解説

  1. エリアキャンパスもがみ:山形大学が最上地域を対象として展開しているバーチャルキャンパス。
  2. 舟形野菜かき揚げ丼:舟形町の堀内農産によって提供していただいた野菜を使ったかき揚げ丼であり、12/16~12/22の5日間厚生会館にて販売していただいた。
  3. 厚生会館:山形大学内の食堂の一つがある建物である。
  4. サポーター:学生の学びをサポートする立場の上級学生。
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