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第26回国際珪藻学会シンポジウムを開催します ~コロナ禍を経て5年ぶりの対面開催です~

掲載日:2023.07.06

本件のポイント

  • 令和5年8月28日(月)〜9月2日(土)に、山形テルサにて第26回国際珪藻学会シンポジウムを開催します。
  • 今回開催される国際シンポジウムは、本来2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて今年度まで延期されたものです。
  • 日本では1996年以来2回目の開催で、東京以外の都市で開催される初めてのシンポジウムです。
  • 珪藻の生物学、環境との関係、資源としての利用などさまざまな視点からの研究発表が行われる予定です。

概要

 珪藻とは、いわゆる「植物プランクトン」の主なもので、地球上に広く見られ、全世界から多数の種類が記録されています。「珪藻」の名前は、珪酸質の殻を持つことに由来し、これが長く地層に残ることから、化石としても豊富に産出します。場所や気候によって生育する種類が異なり、環境の指標としても重要な生物です。古い時代の珪藻がまとまって産出する珪藻土は、資源としても重要です。国際珪藻学会シンポジウムは、この珪藻を対象とするさまざまな分野の研究が一堂に会し、最新の研究発表を行うことを目的に開催されます。今回、山形市の山形テルサにて第26回国際珪藻学会シンポジウムを令和5828日(月)〜92日(土)に開催します。これは日本では1996年以来2回目の開催となるものです。珪藻に関心のある多くの方々の参加を期待しています。

 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

珪藻(Diatom)とは、単細胞性の水生光合成生物で、いわゆる「植物プランクトン」の主な構成要素になっている生物です。水があり光の当たる所には地球上あまねく見られ、全世界から12,000種以上と、とても多くの種類が記録されています。さらに、「珪藻」の名前の通り、珪酸質(いわゆるガラスのようなもの)の殻をもっており、これが長期間にわたって分解されずに残ることから、化石としても豊富に産出します。このような特徴をもち、さまざまな環境に生育することから、分類・進化、生態の分野でも興味深い研究対象です。また、場所、気候によって生育する種類が異なることから、環境の指標としても重要な役割を果たしています。さらに、古い時代の珪藻がまとまって産出すると珪藻土と呼ばれる状態になり、これはノーベル賞の創始者で名高いノーベルが、ニトログリセリンを吸い込ませてダイナマイトの基質として利用したことでも知られるだけでなく、現在でもさまざまな目的で利用される有用な資源です。このように珪藻類は、生物学の基礎的な研究内容だけでなく、環境との関係(特に過去の復元と未来予測)、資源としての利用に関する研究など、さまざまな視点からの研究を結びつける、重要な生物です。本シンポジウムでは、「珪藻」に関連するさまざまな研究を一堂に会して、最新の研究内容を発表し、広く討議することで、現在の研究を深めるとともに、今後の研究および利用・応用の方向性を参加者全員で探っていくことが目的です。

シンポジウムの概要

 国際珪藻学会シンポジウムは1970年から2年に1回開催されており、今回山形市で開催される予定の第26回のシンポジウムは、2018年のベルリン大会を経て、本来2020年に開催される予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、対面開催が順延されていたものです。研究発表は8月29日(火)、31日(木)、9月1日(金)、2日(土)の4日間で行われ、珪藻を対象としたさまざまな分野の研究が口頭発表およびポスター発表の形で報告され、日本をはじめ、欧米、そして開催国が日本であることからアジア各国の珪藻を研究している研究者、学生、企業関係者などが、研究内容に関する討議を行う予定です。シンポジウム初日の28日(月)は、研究発表に先立って情報交換のためのミキサーを開催し、30日(水)にはシンポジウム参加者のためのエクスカーションと、参加者間の交流とより深い相互理解を促すパーティーを開催する予定です。これら一連の日程で、国内及び国外からの参加者の研究内容を広く公開するとともに、討議によって研究内容の理解を深め、将来のさらに深い研究、および資源利用などの応用分野への展開を目標とします。珪藻を専門としていなくても、珪藻の生物学や、環境科学や資源利用等への応用に少しでも関心をお持ちの皆さんに、多数参加していただけることを期待しています。

用語解説

1.珪藻(Diatom):単細胞性の水生光合成生物で、進化的にはコンブ・ワカメのグループ(褐藻類)に類縁がある生物です。いわゆる「植物プランクトン」の主な構成要素になっており、湖沼、河川、海洋など、水があり光の当たる所には地球上のほとんどすべての場所に見られます。全世界から12,000種以上が記録されていて、場所、気候によって生育する種類が異なることから、環境の指標としても重要な生物です。

2.珪酸質:珪酸とはケイ素、酸素、水素からなる化合物の総称で、珪藻は水中の珪酸を取り入れてシリカ(二酸化珪素)の水和物にして、これを殻の形成に利用します。これをここでは珪酸質と呼んでいます。

3.珪藻土:大量に増殖した珪藻が死滅して水底に堆積したのち、珪酸質の殻のみが残ってできた堆積岩を粉砕して用いられるもので、現在では建材、絶縁体、研磨剤、土壌改良剤、吸湿剤などに広く用いられています。

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