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山形県南部令和4年8月豪雨災害調査報告書を出版 ~山形大学災害環境科学研究センター災害対応~

掲載日:2023.07.06

本件のポイント

  • 令和4年(2022年)8月の豪雨災害について、被害の著しかった飯豊町を中心に最上川・置賜白川流域において現地調査を行い、把握した変状や被害状況をまとめて報告書を作成した。
  • 河川や水路、地域のインフラ等への被害状況を現地確認し、現象の発生要因を検討した結果、とくに橋梁等による河道の狭窄や流木等による流下阻害の影響が顕著であったことから、それらを踏まえた治山・治水・防災対策が望まれる。
  • 線状降水帯により甚大な被害が生じた山形県における初めてのケースであることから、本報告が今後の災害研究と地域防災に資する基礎資料として役立つことを期待する。

概要

 令和4年(2022年)8月3日から4日にかけて、低気圧と前線の影響により東北地方各地で豪雨災害が多発した。とくに山形県南部から新潟県北部におよぶ地域では線状降水帯によって記録的な大雨となり、河川や用排水路の氾濫による浸水・冠水・洗掘・侵食や、斜面崩壊,溜め池の決壊、橋梁の落下などの甚大な被害が生じた。山形大学災害環境科学研究センターと中央開発株式会社東北支店は合同調査隊を組織して、202284日、6日、7日、11日、108日、19日に、飯豊町を中心に、中山町よりも上流の最上川および置賜白川流域において調査を行った。各地において記録した変状の写真・動画とともに、河川や排水路で氾濫が生じた原因や、斜面災害と地形・地質との関連等についての考察を2編にまとめ、A489ページの報告書として6月末に出版した。

 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

 最上川流域では、過去にも繰返し大雨による災害が発生しており、201910月の「令和元年東日本台風」や、20207月の「令和27月豪雨」などは記憶に新しい。令和48月豪雨は、最上川中~上流域、特に新潟から置賜地方にかけての局所的な豪雨が原因となったが、類似の災害に、我が国で初めて激甚災害指定をうけた1967年(昭和42年)の羽越豪雨が知られる。令和48月豪雨は、降雨量は羽越豪雨に匹敵するものであったが、線状降水帯の発生や、警戒レベル5の大雨特別警報の発令など、山形県民が初めて経験する記録的なものとなった点で特筆に値する。令和48月豪雨災害についての理解と検証が進み、今後の自然災害の頻発化・激甚化に備えて、山形県全県での防災対策に生かされることが期待される。

出版物

山形大学災害環境科学研究センター,2023,山形県南部令和4年8月豪雨災害調査報告書.大風印刷,89p.

目 次
本山 功・岩田尚能・加々島慎一・橋本智雄・森藤 勉・柴田 樹・片桐 悟,令和4年8月に発生した山形県南部豪雨災害について.
橋本智雄・森藤 勉・柴田 樹・片桐 悟・本山 功・岩田尚能・加々島慎一,令和4年8月 山形県飯豊町で発生した豪雨災害について.

冊子体を300部作成し公的機関等に配布予定である。また、山形大学リポジトリでPDF版を電子公開予定である。

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