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蔵王山東麓のラハール堆積物の分布と特性解明を目的とした 重機トレンチ掘削調査

掲載日:2023.08.03

本件のポイント

  • 重機トレンチ掘削により、蔵王山東麓のラハール*堆積物調査を実施。
  • 文科省の次世代火山研究プロジェクトの一環として、中央開発(株)と共同で実施。(蔵王ジオパーク推進協議会が協力)
  • 蔵王山東麓の過去最大級のラハール堆積物の分布と特性が解明される可能性があり、蔵王山の噴火災害軽減に大きく寄与。
    *火山性泥流/土石流

概要

 蔵王山は、東北地方太平洋沖地震の後に噴火の前兆現象が認められ、今後の活動が注視されている。このような状況の下、蔵王山の過去の活動履歴の解明は、噴火災害の軽減に資する上で極めて重要である。
 ラハールは火山災害をもたらす現象の中でも最も注意すべきものの一つであり、活動履歴を編む際に、その発生時期・特性・影響範囲を解明する必要がある。蔵王山の東麓地域においてはラハールによる堆積物が河川沿いに分布していることが明らかとなってきたが、その面的な分布については解明されていない。本研究では、ラハール堆積物の分布を解明するために、河川から離れた平坦面において重機トレンチ掘削調査を行っている。

 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

 多くの人々が犠牲になった2014年の御嶽山の噴火を契機に、文部科学省は「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」を発足させ火山研究を促進させている。その研究課題のひとつに、全国の主要な活火山の活動履歴の高精度解明がある。蔵王山は主要火山に含まれ、山形大学のマグマ学・火山学クラスターや蔵王樹氷火山総合研究所が中心になって研究が進められている。災害を引き起こす危険性が高いラハールについても、堆積物調査を基に研究を進めてきたが、川沿いに露出している地層の調査に限定されていた。
 一方、蔵王山の東麓にはラハール堆積物が分布していることが、河川沿いの調査から明らかとなってきたが、その面的な分布については未解明である。調査地点が位置する蔵王町はジオパーク推進協議会を立ち上げ、研究・教育・保全などに関する事業を推進しており、本学の蔵王山調査に大きな協力をいただいている。

研究手法・研究成果

 山形大学は、蔵王山東麓の河川沿いに露出している地層の調査を基に、過去のラハール堆積物の調査を進め、過去約7千年間に少なくとも15回ラハールが発生したことなどを明らかにしてきた。しかし、山麓では地層が露出しているのは川沿いのみで、ラハール堆積物の分布を解明することに困難を来していた。本研究では、遠刈田北方の比較的平坦な地形を呈するエリアのほぼ中心部で重機トレンチ掘削調査を行い、目的の堆積物も発見されている。

今後の展望

 発見された堆積物の発生時期、特性、分布範囲を解明する。さらに、古地形を推定し、堆積物をもたらしたラハールの規模と分布範囲、特に古地形との関連について検討する。これらが解明されれば、現在の地形環境におけるラハールの及ぶ範囲を推測することが可能となると考えられる。

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