ホーム > 新着情報:プレスリリース > 2023年10月 > 学長定例記者会見を開催しました(10/5) > 惑星探査機の放熱⾯に対するダスト付着の影響を解明
掲載日:2023.10.05
はやぶさ2等の惑星探査機において、惑星サンプルを採取する⽅法として、惑星表⾯接近時に探査機から惑星表⾯に弾丸を発射し、その衝突によって舞い上がったサンプルを採取します(タッチダウン)。2019年7⽉11⽇(⽇本時間)、「はやぶさ2」が⼩惑星リュウグウに2度⽬のタッチダウンを⾏った際に、タッチダウンの様⼦を撮影しました。撮影された動画から、当初予想していたよりも⼤規模なダストの舞い上がりが確認され、舞い上がったダストが放熱⾯(ラジエーター)に付着し、熱放射(熱を逃がす)性能に影響を与える可能性が懸念されました。
⼭形⼤学⼤学院理⼯学研究科機械システム⼯学専攻の江⽬宏樹准教授と修⼠課程の海野嵩史⽒、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の太⼑川純孝主任研究員の研究グループは、実験と電磁場解析を⾏い、新たな評価パラメータを提案し、ダストの付着が放熱⾯(ラジエーター)の熱放射性能に与える影響について、調査しました。ダストの付着は放熱⾯の熱放射性能を変化させ、その影響は粒⼦の付着が増加するにつれて増⼤することを⽰しました。将来の惑星探査機の熱設計に⼤きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、2023年8⽉8⽇付で宇宙技術の専⾨誌 Acta Astronautica に掲載されました。
DOI:https://doi.org/10.1016/j.actaastro.2023.07.033
詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。
1.ダスト:天体の表⾯上に⾒られる岩⽯由来の粒⼦やかけら
2.⽉砂(レゴリス):⽉など⼤気のない固体天体の表⾯に存在するダスト堆積層
3.分光放射率:特定波⻑における放射体の放射発散度とその放射体と同温度の⿊体の放射発散度との⽐