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ポストドクター(PD)等の研究環境向上のために山形大学独自の処遇改善を実施 ~日本学術振興会による新事業の「雇用制度導入機関」への登録決定~

掲載日:2023.10.17

ポイント

・日本学術振興会が新たに実施する「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」による「雇用制度導入機関」への登録決定。
・PD等の育成方針を策定し、日本学術振興会からの支援(434万円)に本学独自の支援(最大108万円)を加え、助教と同水準の経済的支援を図ることにより、優秀な若手研究者の処遇改善等を実施。
・10月1日から第1号となる特別研究員の雇用が開始。学術の発展に資する研究成果の創出が期待。

概要

 山形大学は、特別研究員-PD、RPD、CPD(以下「PD等」という。)の育成と研究環境の向上を図るため、「国立大学法人山形大学で雇用する特別研究員-PD等の育成方針」を策定し、本年度から日本学術振興会が新たに実施する「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」による「雇用制度導入機関」への登録が決定されました。
 この度、本制度を活用し、令和5年10月1日からPD等を雇用することが可能となりました。これまで、PD等は不安定な身分や処遇等で課題がありましたが、今後は、本学の育成方針に基づき、助教と同水準の経済的支援による処遇改善やキャリア形成支援等を実施します。
 10月1日からは、待望の第1号となる特別研究員が雇用開始となり、より充実した研究活動に取り組むことで、研究成果の向上や学術の発展に寄与することが期待されます。

 詳しくはこちらをご覧ください。

背景

 独立行政法人日本学術振興会(JSPS)が実施する特別研究員制度は、優れた若手研究者をPD等として採用し、自由な発想のもとに主体的に研究課題・研究の場等を選びながら研究に専念する機会を提供しています。「優れた研究者の登竜門」ともいうべき制度として研究者コミュニティに定着し、我が国の若手研究者育成の中核的な役割を担っています。
 一方で、受入研究機関としての研究の場はあるものの、雇用関係がないことから、不安定な身分の解消や受入研究機関での適切な研究環境、処遇・取扱いの改善等に係る課題がしばしば指摘されていました。PD等は、我が国において、優秀なポストドクターとして認知されているが、こうしたPD等がより安心して研究に専念できる環境を確保することは、PD等の研究活動の充実にとって極めて重要であるとともに、我が国の研究力の向上にも大きく資することが期待されます。
 こうした状況を踏まえ、受入研究機関がPD等を雇用し、PD等の育成と研究環境の向上を図るため、令和5年度から「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」が開始し、「特別研究員-PD等の雇用制度導入機関」が募集されることとなりました。雇用制度導入機関がPD等を雇用することで、PD等の身分の安定化、社会保障の充実が図られます(図1~3参照)。

本学の取り組み

 山形大学は、PD等の育成と研究環境の向上を図るとの趣旨に賛同し、「国立大学法人山形大学で雇用する特別研究員-PD等の育成方針」を策定するとともに、「雇用制度導入機関」への登録を申請しました。
 この度、JSPSから「雇用制度導入機関」への登録が認められ、令和5年10月1日からPD等を雇用することが可能となりました。
 本学では、PD等の成長を促進するため、以下の育成方針に基づき、各種取組みを実行します。
 1 研究に没頭できる環境の構築
 2 人材育成プログラムの構築
 3 ダイバーシティの確保・女性研究者の人材育成
 4 研究者育成の実行
 
 PD等の雇用にあたっては、①通常型、②キャリア形成型、③プロジェクト従事型の3つのタイプからの選択制とし、今後、独立して研究室を立ち上げ、ステップアップしていただくため、研究室運営、教育支援の機会や、プロジェクト従事により実践力を強化するための機会を提供するとともに、人材育成を実施します。
 特に、PD等への経済的支援による処遇改善として、給与支給額を最大108万円増額します(+25%増。③プロジェクト従事型の場合)(図4参照)。これにより、若手助教クラスと同水準の給与を支給することとなり、安心して研究に打ち込める環境を実現します。
 そして、10月1日からは、待望の第1号となるPD等(本学における職名は「特任研究員」)が雇用開始となります。博士課程を修了後、本学において研究者としてのキャリアをスタートさせます。

(参考)本学で雇用するPD等

 氏  名  奥村 華子(おくむら かなこ)
 職  名  山形大学人文社会科学部特任研究員・日本学術振興会特別研究員(PD)
 研究分野  近現代日本文学、日本文化
 研究課題  外地経験者による〈聞き書き〉の方法に関する研究──上野英信と森崎和江を中心に
 コメント  戦前・戦中を旧満州国や朝鮮で過ごした文学者らの活動と交流、なかでも彼ら彼女らが
九州や東北で民衆らの語りを記録した〈聞き書き〉について研究しています。今回、先
駆的に導入いただいた雇用制度によって安定した環境で研究に専念できるようになり、
より広範な問題にも取り組みたいと考えました。さっそく山形の研究者の方たちと立ち
上げた20世紀開拓文化運動研究会での活動を皮切りに、人の移動を通した文化活動の一
端を明らかにすることに貢献したいと思っています。

今後の展望

 新たな取組みにより、若手研究者がより充実した研究活動に取り組むことで、研究成果の向上や学術の発展に寄与することが期待されます。
 今回の取組みを契機として、若手研究者が活き活きと研究活動に専念できるように支援を充実してまいります。多様な視点や創造性を確保することで、科学技術イノベーションの担い手となる人材が育成されることが期待されます。

用語解説

1.特別研究員-PD、RPD、CPD:
博士学位を取得した若手研究者(ポストドクター)のうち我が国トップクラスの優れた者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題・研究の場等を選びながら研究に専念する機会を与える制度です。
JSPSより研究奨励金(給与相当)及び研究費(最大150万円/年)が支給されます。

(参考)JSPSホームページ https://www.jsps.go.jp/j-pd/index.html

図1の画像
図1

図2の画像
図2

図3の画像
図3

(図1~3出典)研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業 説明資料
(令和5年3月、独立行政法人日本学術振興会)

図4の画像
図4

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