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山形大学Well-Being研究所の取組について ~山形コホート研究の成果を個人・地域の個別化健康づくりに還元~

掲載日:2024.01.11

本件のポイント

  • 令和5年4月1日付けで、全学組織として、新たに「山形大学Well-Being研究所」を飯田キャンパスに設置した。
  • 本学において、長年実施してきた「山形コホート研究」の成果を、県民の皆様一人ひとりに個別化して還元し、Well-Being(体と心が健康で、人や社会とのつながりがよい状態)を実現し、健康寿命の延伸につなげる。
  • さらに、「Well-Being」をテーマとする研究に全学部の教員が取り組む。
    令和5年度は16件の研究を新規にスタートさせている。
    今後、これらの研究成果も県民の皆様に還元していきたい。

概要

 山形大学において、長年実施してきた「山形コホート研究」の成果を基に、自治体、企業、医療機関、教育研究機関と連携して、個人と地域の個別化健康づくりを支援し、社会実装するWell-Being研究所を令和5年4月1日付けで飯田キャンパスに設置し、活動を開始しました。
 本研究所では「Well-Being」をテーマとした新規研究を16件立ち上げており、そのテーマは食、スポーツ、医療、介護、創薬、AI、生体センサー、行動科学など、多岐に渡ります。全学部の教員が山形県民の皆様のWell-Being向上に向けて日々研究を続けております。
 本研究所の今後の活動にご期待いただくとともに、一層のご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。

 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

  • 国民一人ひとりの生活の質を維持し、社会を持続可能なものとするため、健康寿命をより大きく延伸させることは国家的な課題となっている。また、山形県の高齢化率は33.4%と全国第6位の水準にあり、高齢化の進行に伴い、健康に不安や課題を抱える高齢者の健康に焦点を当てた取組の充実も喫緊の課題となっている。
  • 研究成果の還元方法として、これまではメディアによる間接的な方法や健康教室、自治体への政策提言などの限定的な方法でかつ一方向的、アナログなものであり、知見が本当に必要としている人に十分に伝わらない、伝わっても生活習慣の改善に結びつかないという課題があった。

今後の展望

  • 県民の皆様一人ひとりに個別化した健康アドバイスを実施するために、スマートフォン上で使用できる「Well-Beingアプリ(仮称)」を開発中であり、今年の春頃に完成予定。本アプリでは「山形コホート研究」で得た山形県民のデータを基に、将来の生活習慣病及び要介護状態になるリスクを評価することが可能となる。
  • 加えて、本アプリ利用者の毎日の食事・運動・睡眠・体重変化などの測定値をアプリにより定期的に収集し、 個人の特性とリアルタイムデータ、それらを統合・解析して、個人に合わせた最適なサポートを、医師と生成 系AIが本人にフィードバックすることを繰り返していく。これにより、利用者の方の意識変化、行動変容を促し、健康寿命の延伸、Well-Beingにつなげていくことができると考えている。
  • アプリを用い、令和6年度においては本学医学部と包括連携協定を結ぶ山形市の協力を得て、まずは山形市民の皆様1,000人程度の協力者を募り、アプリの試行を行っていただき、令和7年度以降には山形市以外の県内市町村にお住いの皆様にも使っていただく。
  • アプリを通じて収集したデータを基に、健康、福祉政策の立案にも活用いただけるように県内自治体との連携も一層進めていく。

補足説明

1.山形コホート研究とは
・コホート研究とは、一定期間ある集団を追跡して、病気の発生などの健康状態の変化を調べる研究のこと(例えば、喫煙の集団と非喫煙の集団を一定期間比較し、病気の発生の状況や要因などを明らかにする)。
・山形大学では、「山形コホート研究」として、山形県7市1町の地域住民健診受診者2万人の経年的な健診項目、生活習慣の変化、様々な疾患の発症等の情報を収集しており、その情報を基に、様々な環境要因や遺伝子因子と疾患発症、生命予後との関連について現在も調査、研究を継続している。

2.本学と山形市との協力体制について
・本学医学部と山形市との間で包括連携協定『「健康医療先進都市」を目指す山形市と山形大学医学部との包括連携に関する協定』(平成28年度~継続中)を締結しており、双方の保有する資源を有効に活用することが可能となっている。
・本研究所の設置と合わせ、山形市においては新たな事業として『「山形コホート研究」を活かした健康づくり事業』を令和5年度から開始いただいている。主に研究フィールドの提供、研究協力者募集の面でご協力いただく。

3.「Well-Beingをテーマとした研究」について
・「Well-Being」をテーマとした研究を学内公募し、食、スポーツ、医療、介護、創薬、AI、生体センサー、行動科学など多様な研究テーマが新規にスタートしている。

研究リーダー

研究名称

職名

氏名

専門分野

教授

小酒井貴晴

栄養生理学(動物代謝)

地域食材の食習慣によるエネルギー代謝改善効果に基づく健康寿命延伸技術の開発

講師

三枝巧

アダプテッド・スポーツ科学,スポーツ心理学

アダプテッド・スポーツが気分状態およびライフスキルに与える心理・社会的効果の検討

准教授

加納寛子

情報教育

Well-BeingのためのCopilot AI Robotの開発と実証実験

准教授

塩野知志

 

呼吸器外科学

ロボット支援下肺切除とEnhanced Recovery After Surgery (ERAS)が肺癌術後早期回復に及ぼす効果

助教

鑓水健也

麻酔集中治療学

山形のWell-Beingを向上させる医療情報基盤構築

講師

石川恵生

 

歯科口腔外科

山形県コホート研究発 歯数と咀嚼能を考慮した山形県民のための究極のWell-being食の開発

助教

岩田宏紀

 

情報科学

臨床研究基盤としての匿名化臨床データベース構築と活用研究

教授

二口充

 

病理学

ぬいぐるみ型健康管理ロボットの作成とこれを用いた地域包括ケア補助システムの確立

教授

深見忠典

生体情報処理,医用画像処理

AI技術に基づく口腔疾患の高精度検出

教授

真壁幸樹

 

蛋⽩質⼯学, 抗体⼯学

個別化医療を志向した蛋⽩質⽣成AIによる次世代型バイオ医薬品の創成

教授

湯浅哲也

 

医用画像工学

ディープラーニングを用いた頭部CTA画像からの脳血管抽出

准教授

矢野成和

 

応用微生物学

真菌細胞壁溶解酵素を用いた病原真菌防除技術の開発と産業利用

助教

原田知親

 

集積化センサ, IoT計測システム

1⽇の活動状態を無意識で⻑期計測可能な活動状態計測システムの開発と睡眠解析への応⽤

教授

熊木大介

 

有機エレクトロニクス

乳幼児のWell-Beingを実現する生体センシング技術に関する研究

教授

渡辺昌規

 

バイオマス資源学

非可食部バイオマスのアップリサイクル・機能性食品化研究拠点

助教

五領田小百合

行動科学,公衆衛生学

生体データの見える化を活用した行動科学研究

詳細は、以下のWell-Being研究所ホームページをご覧ください。
URL:https://www.yu-wellbeing.com/

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