山形大発ベンチャー企業（株）アルファテックの躍進～農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業に採択～｜新着情報：プレスリリース

山形大発ベンチャー企業（株）アルファテックの躍進～農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業に採択～

掲載日：2024.02.01

本件のポイント（概要）

山形大学の西岡昭博教授（大学院有機材料システム研究科）により開発されたAmorfast®︎技術は、粉砕時の温度制御により澱粉を主成分とする穀物に付加価値を与える技術です。（株）アルファテックはAmorfast®︎技術を広く普及させ、研究成果の見える化を達成するために2018年6月に設立された山形大学発ベンチャー企業です。（株）アルファテックでは設立後からすぐにAmorfast®︎技術の最大の課題であった量産化に目処をつけるべく鋭意検討を重ね、昨年の2023年には量産化機のプロトタイプの開発に成功しました（右写真を参照）これが起点となり、昨年12月末に農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業（以後、本事業）に（株）アルファテックの事業計画が採択されました。本事業により本学との連携がさらに進展し、Amorfast®︎技術の応用研究の発展、実用化に向けて大きく前進することが期待できます。具体的には本事業の一部は（株）アルファテックから工学部（西岡研究室）および農学部への委託事業研究として進められます。なお、Amorfast®︎技術に関する研究は山形大学アグリフードシステム先端研究センター（略称：YAAS）の重点研究プロジェクトに位置づけられ、同センターの中心的な研究プロジェクトの一つに位置づけられています。

背景（技術開発およびベンチャー企業設立の経緯）

　山形大学工学部の西岡研究室では澱粉やセルロースを粉砕のみで瞬時にアルファ化（非晶化）できる技術（以後本技術）を世界に先駆け開発し、その応用展開に関する研究開発を行なっています。その応用範囲はグルテンフリー食品、機能性の家畜飼料からバイオマス燃料にまで及びます。本技術に関する研究は山形大学アグリフードシステム先端研究センター（略称：YAAS）の重点研究プロジェクト（代表者：工学部・西岡）として位置づけられています。YAASでは本技術から製造されるアルファ化米粉を「山大アルファ化米粉」と名付け、ブランディングを進めると同時に、料理家などとのコラボも計画しています。
　また本技術を事業化することを目的に2018年6月に山形大学発ベンチャー企業（株）アルファテックを起業し、上記の技術にAmorfast®️ という商標を与え、技術の社会実装を見据え鋭意活動を行っています。山形大学の推薦により（株）アルファテックは東北では２社目となるJ-StartupTOHOKUのメンバーに選定されています。量産化へ向けて大型機の開発も進め、大型機のプロトタイプをYBSC（本学有機材料システム事業創出センター）内に設置することができ、本技術から得られるアルファ化米の大量生産にも目処が立ちました。このような流れの中で、今回の農林水産省の「中小企業イノベーション推進事業」の採択に至りました。

　詳しくはこちら（リリースペーパー）をご覧ください。

成果

　農林水産省の「中小企業イノベーション推進事業」は、我が国における先端技術の社会実装の推進を図る目的で造成された基金を活用する事業です。この基金活用への公募に対し、（株）アルファテックが提案した事業「穀物新規需要創出・脱炭素を実現する非晶化技術の実証と製品化テスト」が採択されました。（応募件数 111件中の採択数25件）なお（株）アルファテックへの交付限度額は約6億5千万円/5年間です。

今後の展望

　本事業の一部は（株）アルファテックから西岡研究室およびYAASへの委託事業として実施されます。すでに山形大学内ではYAASがハブとなり、農-工の分野を超えた学際的研究基盤の構築が推進されてきています。YAASではAmorfast®︎で製造した非晶性の米粉に対し「山大アルファ化米粉」というブランディングも行っており、本事業の推進により山形大学内の農-工連携がますます強化されます。
　さらに山形大学発のAmorfast®︎の技術の実装が加速され、食糧問題、環境問題への解決に本技術が大きく貢献します。これらの取り組みは、まさに昨今のSDGsの推進事業に相応しいものであり、工学部発の技術を農学部との連携を経て地球規模のスケールで展開できる絶好の機会です。