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米麹を用いた発酵あんの開発 ~食文化の継承に向けて~

掲載日:2024.03.07

本件のポイント

  • 「米麹(山形県産はえぬき)」と国産小豆(北海道産)で「美味しい発酵あん」を開発。
  • 「砂糖無添加」で製造:米麹酵素と食品用酵素を応用。
  • ほのかな甘味・弱いべたつき・良好な口溶け・低エネルギー・GABA豊富:消費者の健康志向に対応した新たなあんとして提供できる。

概要

 小豆は赤飯、いとこ煮や煮ごめなどの郷土料理、パン、洋菓子、スナック菓子などに用いられる他、和菓子の重要な原料であり、饅頭、最中、羊羹など用途は広く、我々の食生活に欠かせない食品である。小豆の約7割はあんの原料として使用されるが、あんは砂糖を多く含み、近年の「低甘味志向」から消費が低迷している。あんを用いた和菓子は、食文化の継承において伝統文化のひとつとして重要視されるが、消費者の健康志向に対応した新たなあんの製造技術開発が求められている。本研究では、農学部4年河野凜々安さん(食品創製科学研究室)が、米麹を用いた「砂糖無添加の発酵あん」の開発を試みた。その特徴は、①米麹酵素と食品用酵素の併用で糖の生成促進・糖組成を改変、②砂糖無添加で高い糖度達成(発酵あん:糖度52-55、市販あん:同57-59)、③ほのかな甘味と弱いべたつきで後味良好、④低エネルギー・機能性アミノ酸GABA豊富。開発した発酵あんは、消費者の健康志向に対応した新たなあんとして期待できる。

 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

和菓子はわが国の伝統的な菓子であり、その基本的な材料は豆類と砂糖類である。豆類、特に小豆から製造されるあんは、和菓子の基本といわれるほど重要視される。一方、糖分が多いことや高カロリーなど、甘味や糖類を連想させる製品の市場規模が減少している。あんを用いた和菓子は、食文化の継承において伝統文化のひとつとして重要であるが、消費者ニーズに対応した、次世代からも喫食される品質のあんが求められている。

研究手法・研究成果

予め粉砕・分級した米麹粉(山形県産はえぬき、清酒用こうじ菌「特別吟醸用」)、種皮除去したペースト状蒸煮小豆、食品用酵素を添加・均一に混合後、55℃-3日間(または4日間)発酵(24時間毎に混合)させた。開発した発酵あんは、①ほのかな甘味、弱いべたつき、口溶け良好、②高糖度・低エネルギー、③GABA豊富。発酵あんは、昨今の消費者の健康志向に対応した新たなあんである。

今後の展望

機能性を強化した新たなあんの開発ならびに発酵あんによる食文化の継承

※用語解説

1.食品用酵素:製パン、澱粉糖製造、油脂加工、ビール醸造など、幅広い用途に用いられている。高品質な
  食品製造には不可欠なものとなっている。
2.GABA(γ-アミノ酪酸):アミノ酸の一種であり、抑制系神経伝達物質。血圧上昇抑制、疲労感軽減、
  ストレス緩和、睡眠の質の改善など、様々な機能性を示す。機能性表示食品の関与成分
  (血圧、精神的ストレス・疲労感緩和、睡眠の質向上など)。

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