ホーム > 新着情報:プレスリリース > 2024年06月 > 学長定例記者会見を開催しました(6/6) > 環境・野生動物における新興感染微生物の発生動向を把握する〜環境省公募研究のミディアムファンド枠に採択〜

環境・野生動物における新興感染微生物の発生動向を把握する〜環境省公募研究のミディアムファンド枠に採択〜

掲載日:2024.06.06

本件のポイント

  • これまで薬剤耐性菌は特定の施設(例えば医療施設や畜産場など)での問題と認識されていたが、環境中での拡散が指摘されている。環境と野生動物における薬剤耐性菌の発生動向を調査して、環境圏からヒトや家畜への伝播を明らかにする。
  • 環境試料中から効率的かつ正確に薬剤耐性菌や耐性遺伝子を検出する環境モニタリング手法を提案する。
  • 環境省が公募した環境研究総合推進費「環境問題対応型研究 ミディアムファンディング(MF)枠」の13件の新規採択課題の1つに選ばれた(全申請件数:94件)。

概要

 山形大学農学部エコサイエンスコース 西山正晃准教授(環境微生物学)が研究代表を務める研究プロジェクト「ワンヘルスに向けた環境・野生動物における新興感染微生物の発生動向とその評価手法の提案」が、環境省の公募する環境研究総合推進費「環境問題対応型研究 MF枠」に採択されました(研究期間:3年間、予算規模:2,000万円/年予定)。このプロジェクトは、山形大学農学部の学内教員5名で組織されており、河川流域環境と野生動物における新興感染微生物の発生動向を調査し、環境・野生動物から家畜・ヒトへの伝播を明らかにすることにより、それらリスクの解明を行います。また、環境中の薬剤耐性菌とそれらに関連する耐性遺伝子の評価手法を開発するとともに、環境と野生動物における耐性菌の伝播経路とそのメカニズムを解明することで、耐性菌の環境基準指針と拡散防止案を提案することを目的としています。

詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

 薬剤耐性菌による感染症は地球規模の問題であり、現在の状況が改善されなければ,2050年には薬剤耐性菌に関連する死者数は世界中で年間1,000万人を超えると試算され、WHOが喫緊の課題として警鐘を鳴らしています。この耐性菌の問題を解決するためには、ヒト-動物-環境を1つと捉えるワンヘルスの考え方が提唱され、業界の垣根を超えた取り組みが必要であるとされています。これまで我が国では、ヒトと動物を対象としたアクションプラン(2023-2027)が策定され、対策が始まっている状況です。しかしながら、人獣共通で発生しているAMRへの対策はワンヘルスのアプローチが重要であるにもかかわらず、現状のサーベイランスでは、ヒトと動物(主に畜産)における耐性菌の発生動向を把握することに限られており、環境分野での実態はわかっていません。
 加えて,世界各地で問題となっている人獣共通感染症に関しても,ワンヘルスアプローチによる統合的対策求められています。我が国では,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といった新興マダニ媒介感染症の発生数が増加し、2021年には過去最多を更新している状況です。安心安全な環境の構築には,環境と野生動物に由来する新興感染微生物の動向把握とそれらの病原リスクを複合的に理解する必要があります。

研究手法・研究成果

 本プロジェクトでは、東北地方を対象とした調査を行って、以下の3つを明らかにする。
(1)環境における薬剤耐性菌と耐性遺伝子の評価手法を開発する。
(2)野生動物が保有する耐性菌の発生動向の把握し,周辺環境との関係性を明らかにする。
(3)環境や動物に定着するマダニ媒介感染症に起因する細菌とウイルスの保有状況を把握する。
これらの結果から、ワンヘルスに向けた環境と野生動物の新興感染微生物の発生動向とその評価手法を提案する。

 

関連リンク

  • シェア
  • 送る

イベント一覧へ