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「はえっぺ」で食品残渣を資源化 ~持続可能な農業と地域循環の実現~

掲載日:2025.03.06

本件のポイント

  • 食品残渣を活用した循環型農業の実現:鶴岡市立荘内病院、山形大学農学部生協、鶴岡市学校給食センターの食品残渣をアメリカミズアブに食べさせ、そのフラスを100%活用した有機肥料「はえっぺ」を開発。
  • 山形県立庄内農業高等学校の生徒による実証試験で効果を確認:庄内農業高校の生徒が里芋やタマネギの試験栽培を実施し、化学肥料と同等の生育促進効果と土壌中の生物多様性向上を確認。
  • 地域資源の循環と持続可能な農業への貢献:試験栽培した里芋は荘内病院へ、タマネギは鶴岡市学校給食センターへ寄贈し、食材として再活用。地域全体で資源循環型農業の仕組みの構築を模索。

概要

 山形大学農学部のヤマダイミズアブラボは、鶴岡市立荘内病院、山形大学農学部生協、鶴岡市学校給食センターから発生する食品残渣をアメリカミズアブの幼虫に食べさせ、その排泄物(フラス)を100%活用した有機肥料「はえっぺ」を開発しました。本肥料の実証試験は庄内農業高校が担当し、里芋やタマネギの試験栽培を実施。その結果、「はえっぺ」は化学肥料に近い作物生育の促進効果を持つことに加え、農地の生物多様性を促進する効果も確認されました。さらに、栽培された里芋は荘内病院へ、タマネギは鶴岡市学校給食センターへと寄贈され、食材として再活用されています。現在、有機肥料「はえっぺ」(195ml入り)を山形大学農学部生協店舗で試験販売する予定です。地域資源の循環と持続可能な農業の実現に向け、さらなる取り組みが進んでいます。
 なお、有機肥料「はえっぺ」のネーミングは、庄内農業高校食料生産科の仲川 晃生(なかがわ こうせい)さんが、ラベルデザインは同じく食料生産科の庄司 心優(しょうじ みひろ)さんが担当しました。

詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

 食品廃棄物の削減と資源循環は、持続可能な社会の実現に不可欠である。ヤマダイミズアブプロジェクト(2021年~)では、荘内病院、山形大学農学部生協、鶴岡市学校給食センターの食品残渣をアメリカミズアブで分解し、100%有機肥料「はえっぺ」を開発。地域の農業と食の循環を促進している。

研究手法・研究成果

 「はえっぺ」は山形大学農学部のヤマダイミズアブラボで製造。食品残渣回収を荘内病院(週1回)、生協(平日毎日)にて行い、特に農学部生協購買部Vert.の食品残渣はほぼ100%資源化(3年半以上継続)している。庄内農業高校の生徒が実証試験を実施し、化学肥料と同等の生育促進効果を確認。「はえっぺ」施用区では、ゴミムシ類などの益虫が増加、土壌微生物の多様性向上が示唆された。栽培した里芋は荘内病院、タマネギは鶴岡市学校給食センターへ寄贈し、資源循環を実現。これらの作物は他機関の協力のもと食味・品質なども分析中。「はえっぺ」は195ml入りで同大学生協店舗にて3月6日から試験販売を行う予定。

今後の展望

 今後は生産・供給体制を強化し、地域内外へ普及を拡大。試験栽培体制を強化し、多様な作物での効果を検証するとともに、販路開拓やブランド化を推進。また、ネット販売を視野に流通経路を拡大する。さらに、各種食品残渣や家畜排せつ物などを活用した様々な「はえっぺ」の開発を進め、持続可能な農業の確立を目指す。

用語の説明

1.アメリカミズアブ:ハエ目の昆虫。北海道を除く広範囲に生息。刺さない。
2.フラス:アメリカミズアブ幼虫のフン

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