ホーム > 新着情報:プレスリリース > 2025年06月 > 学長定例記者会見を開催しました(6/5) > 超小型人工衛星(ベニバナ・サット)プロジェクト立ち上げ! ~「山形の産業へ」「山形に人材を」「山形を元気に」~
掲載日:2025.06.05
ポイント
このプロジェクトでは、
①山形の産業へ(山形の産業振興・ベンチャー育成を図る)
②山形に人材を(山形で育った人材を山形に残す・引き付ける)
③山形を元気に(山形県民・山形大学に夢と活力を与える)の3点を目標に掲げます。
概要
昨年度、山形大学米沢キャンパスに開設した一般財団法人森の学校寄附講座「ソーシャルイノベーションDX」では、社会実装を前提としたものづくりの人材育成体制を整備し、大学資源(人材・知・施設等)を活用した科学的な手法による教育研究活動を通じて、社会実装のためにDX・AI・VRを自由に操れる自走型ソーシャル・エンジニアを育成することを目的とした活動を行っています。先端科学技術の講義を通じて、研究者・技術者として目線を上げ視野を広く取ることの意義を強調してきました。この度、その一環として、キューブサットと呼ばれる小型の人工衛星のプロジェクト、名付けて「ベニバナ・サット プロジェクト」を立ち上げることになりました。打ち上げは、遅くとも2028年までを予定しています。ここでは、①山形の産業へ、②山形に人材を、③山形を元気に、の3点をスローガンとして掲げ、学生はもちろんのこと地元企業との積極的な共創を図り、講義内容を実践し、社会実装論を実証するとともに、宇宙という未知の領域に踏み込むことでアクティブラーニングを通じ学生諸君の好奇心及び意欲を湧き立たせることはもちろんのこと、山形県の関係者の方々に新たな夢を与えることを狙っています。この活動を通じて、山形大学内に人材や技術のハブ(結節点)を創ることにより、山形の地で持続的な人材育成や小型衛星産業などの新たな産業展開の場とすることも意図しています。
詳しくは、こちら(リリースペーパー)をご覧ください。
背景
山形大学米沢キャンパスでは、大学認定研究グループ「ナセバース」(学生・教員・社会人が身分職種・学年・学部・大学間の垣根を越え結集しメタバース等のVR技術、対話ロボットやICT技術を活用し地域のコミュニケーション支援ツールを開発する研究拠点)など、実際のシステム開発を通じたDX人材育成の環境を有していました。これらの環境において、社会実装を意識した実践教育により地域の課題に取り組むことは、地域における産業の創成及びそれを支える産業の育成へ大きく貢献でき、さらには大学資源を地域と共に維持発展させることにもつながると考えられます。このような背景のもとに、昨年度、山形大学米沢キャンパスに一般財団法人森の学校寄附講座「ソーシャルイノベーションDX」を開設しました。ここでは、社会実装を前提としたものづくりの人材育成体制を整備し、大学資源(人材・知・施設等)を活用した科学的な手法による教育研究活動を通じて、社会実装のためにDX・AI・VRを自由に操れる自走型ソーシャル・エンジニアを育成することを目的としています。一方で、山形大学をはじめ本県においては、地元の教育機関で育った人材が首都圏や中京圏などに離れてしまい地元に残らないという問題がしばしば指摘されてきました。また、わが国のものづくり産業の空洞化が謳われる中で、新たな産業の振興は本県にとっても喫緊の課題であると認識しています。これらの課題を解決する手段を寄附講座として模索してまいりました結果、今回「ベニバナ・サット プロジェクト」を立ち上げることに至りました。
この寄附講座に招聘した教員は、日本の宇宙実験の黎明期から多くのプロジェクトに参画し、スペースシャトルを用いた実験や人工衛星を用いたダイヤモンドの合成実験やナノ触媒の合成実験などを手掛けてきました。宇宙実験は、以前は国の機関が数十億円規模の予算を使って行ってきましたが、超小型衛星の実用化により、より身近なものになってきました。
ミッションの概要
寄附講座では、この機を捉えて「ベニバナ・サット プロジェクト」を立ち上げ、寄附講座の設置期間である2028年度までに、キューブサットと呼ばれる小型衛星を設計し打ち上げることにいたしました。このプロジェクトでは、①山形の産業へ(山形の産業振興・ベンチャー育成を図る)②山形に人材を(山形で育った人材を山形に残す・引き付ける)③山形を元気に(山形県民・山形大学に夢と活力を与える)の3点を目指す目標に掲げています。具体的には、この活動を通じて、小型衛星関連産業やR&D支援産業、集積化組み込み産業などの振興を図り、将来的には、本県の特性を踏まえて、宇宙利用による農業・林業・酪農やエネルギー関連産業の高度化DX化に繋げることも狙っています。また、このプロジェクトでは、山形の児童・生徒・学生との連携も視野に入れています。その第一弾となる一号機では、山形大学としての独自ミッションを遂行する計画で、①技術試験・検証実験、②宇宙利用の啓蒙、③山形の産業啓発を目的として、「宇宙から山形をみる」「山形から宇宙をみる」に関連する実験を行う予定です。このミッション遂行の基本方針として、可能な限り山形県の材料・部材・技術・ソフトを結集させ、一号機に関しては公的な資金は受けず自主的な資金で自立的な運営を心掛けることを旨としています。そのため、地元企業や学生との積極的な連携・共創を図り、創りながら学ぶアクティブラーニングの場となることを想定しています。宇宙という未知の領域に踏み込むことで、学生はじめ関係者の皆様の好奇心及び意欲を湧き立たせることはもちろんのこと、山形の方々に新たな夢と希望を与えることを期待しています。
今後の展望
寄附講座の設置期間内(残り4年)に一号機の打ち上げ計画を完遂させる計画ですが、それ以降は山形県の重要な課題である農業やエネルギー分野への展開を期して継続的に展開できる仕組みを、この活動のレガシーとして残すことを計画しています。そのための継続的な衛星打ち上げも期待しています。山形大学内に人材や技術のハブ(結節点)を創り、オープンで継続的な活動を行うことにより、結果として山形に人材を引き付け、新たな産業振興の場となることを意図しています。
用語解説
キューブサット:一辺10cmの立方体を基本単位として、これを1個~3個並べた程度の大きさの超小型衛星。
重量は1~4kg程度。近年の電子部品の技術革新によりこのような極めて小さな人工衛星が実現
できるようになりました。
▲キューブサットの例
(ノルウェーのNCUBE2(1U))
▲「ベニバナ・サット」のモックアップ模型
(台座の銘は「山形の夢を載せ宇宙へ」)
▲ベニバナ・サット プロジェクト」
協力企業のロゴ(案)
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