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ヒトが『しっとり感』を感じるメカニズムを解明~化粧品・自動車・繊維・バーチャルリアリティに応用展開~

掲載日:2019.07.10

山 形 大 学
電気通信⼤学
大東化成工業株式会社

研究成果のポイント

  • ヒトはその物質がほとんど水分を含んでいなくても、「湿り感」と「なめらか感」を同時に認知すると、「しっとり感」を感じることを明らかにした
  • モノに触れた瞬間に大きな摩擦抵抗が加わり、それが速やかに減少すると「湿り感」と「なめらか感」が認知されることを見出した。
  • この知見は高級感にあふれる化粧品や衣服だけでなく、よりリアルな触感を示すバーチャルリアリティを開発する上で有用である。

研究成果の概要

皮膚に加わる外部刺激によって様々な触覚が喚起されるの画像
皮膚に加わる外部刺激によって様々な触覚が喚起される

「しっとり感」は、「湿る程度に濡れていたり、適度に水分を含んでいる様」と定義されていますが、液体を含まない固体に触れたときにも認知されます。また、わが国では化粧品・繊維などの多くの分野で重要視されているにもかかわらず、英語をはじめとする他の言語には対応する単語すらない、不思議な感覚でもあります。これまではこの感覚がどのようなメカニズムで喚起されるか、分かっていませんでした。⼭形⼤学(学⻑:⼩⼭清⼈)の野々村美宗教授、電気通信⼤学(学⻑:福田喬)の坂本真樹教授、大東化成工業株式会社(代表取締役社長:脇祥哲)の研究グループは、「しっとり」という言葉の音韻学的解析と化粧用粉体、人工皮革など12の物質の手触りについて官能評価を行うとともに、最新鋭の摩擦評価装置を駆使して皮膚に加わる力学的刺激との関係を解析し、滑り出しでぐっと摩擦力が高まりながらも、その後一気に摩擦力が下がる特徴的な力学刺激が「湿り感」「なめらか感」を引き起こし、しっとり感として感じられることを明らかにしました。今後、しっとり感が高く高級感にあふれる化粧品や衣服、手術ロボット用バーチャルリアリティシステムなど多彩な分野への応⽤が期待されます。本研究の成果は2019 年7⽉10⽇(現地時間)付の英国科学誌Royal Society Open Science にオンライン掲載されます。

詳しくは、こちらの資料をご覧ください。 

皮膚に加わる摩擦刺激のモデリングに用いた指モデル(左)と指のなめらかな動きを再現するバイオミメティック触感センシングシステム(右)の画像
皮膚に加わる摩擦刺激のモデリングに用いた指モデル(左)と指のなめらかな動きを再現するバイオミメティック触感センシングシステム(右)

「しっとり感」の喚起メカニズム.の画像
「しっとり感」の喚起メカニズム.

 

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