室長あいさつ
- 山形大学COC推進室長
三上 英司(みかみ えいじ)
我が国では地域が抱える様々な課題、特に山形県では少子高齢化社会がもたらす諸問題の解決に取り組む人材を育成することが急務となっています。これらに取り組むために山形大学ではCOC事業を平成25年から地域貢献の柱として、地域志向科目の増加と地域志向の研究・社会貢献事業の展開により、学生の地域理解の増進に取り組んで参りました。今年度が最終年度ということで、取組を継続するとともに成果の検証・還元を図っております。
平成27年度に採択されたCOC+事業は、県内の高等教育機関、自治体、企業、民間団体、NPO等と連携組織を構築して県全体で課題解決の明確化と具体的な解決策の策定、実行を行うものです。具体的には、地域連携科目の必修化、学外研修科目(インターンシップなど)と課題解決科目、協働研究科目(卒業研究や修士特別研究)による学生の地域理解の増進と主体的な課題解決人材の育成により、山形県内への就職人数の増加を最大の目標としています。また、具体的には卒業生の地元就職率の10%向上をめざします。さらには、新たな雇用創出を目的として、ベンチャー企業等による新規雇用150人の創出も掲げています。これらはあくまでも数値目標であり、最終的には多くの若者が自ら地域の課題を的確に理解し、解決策を策定・実行していくたくましい人材に育つことにあります。地域社会の将来を担う、たくましい若者が、世代や立場を超えて多くの人々を巻き込んで地域の活性化に取り組み、その結果として、県内での若者の地域定着率の向上と新規雇用創出が継続的に生み出される社会へと転換することをめざします。その基盤を形成することが今回のCOC+事業に参画する大学や自治体、NPO等の連携する組織に共通した課題です。
平成29年度より、山形大学では地域教育文化学部が中心となって事業を進める体制になりました。本事業では同じ方向に向かって意識を共有し、継続的に取り組むことが求められています。未来の山形県に資するということは、地域教育文化学部の使命とも重なりますので、これまで以上に前向きに本事業に取り組みたいと存じます。皆様のご理解とご協力、ご支援を心よりお願い申し上げます。
1.事業のポイント
- (1)
- 山形大学の「教育」と「研究」の地域志向性を高める。
- (2)
- 「社会貢献」を大学として統一的且つ体系的に行うことにより、その質を高め、幅を拡大し、実効性を高める。
- (3)
- 全ての事業を大学と地域が連携して実施する。
- (4)
- 出来るだけ多くの学生及び教員を参加させる。
- (5)
- 以上の施策により、大学が、真の意味で、地域の知の拠点として機能するようにする。
2.教育
- (1)
- 地域を志向する教育・地域と連携した教育
地域をフィールドとした実習型授業、地域をテーマとした地域志向型授業、及び、地域(地域の問題)をテーマに取り込んだ地域志向型授業を数多く開設することにより、大学の教育の地域志向性を高める。 - (2)
- 地域人材の育成・供給
大学の教育の地域志向性を高めることにより、学生の関心を地域に向けさせ、地域社会が必要とする人材を育成し、人材の地域への定着を図る。
※地域イノベーションの意識(意欲)を持った人材の育成 - (3)
- 教育の実質化
地域をフィールドとした実習型授業、地域をテーマとした地域志向型授業、及び、地域(地域の問題)をテーマに取り込んだ地域志向型授業を数多く開設することにより、単なる要素教育(知識の修得)ではなく、具体的な問題に取り組ませることにより、習得した知識を活用し、問題を解決してゆく実践的な能力を習得させる。
3.研究
- (1)
- 地域の課題を解決するための研究
地域の課題を析出・分析し、それを解決するための研究を、東北創生研究所が中心となって、地域と連携して実施し、地域の課題の解決に寄与する。 - (2)
- 地域との共同研究・地域からの受託研究の推進
地域の企業等との共同研究、地域の自治体、企業等からの受託研究を積極的に推進し、地域の活性化に寄与する。 - (3)
- 大学の内外における地域人材の育成
- 1)
- 上記研究に学部学生・大学院生等を参加させ、将来地域に貢献し得る人材を育成する。
- 2)
- 上記の研究を地域と連携して実施することにより、上記研究に参加した自治体職員、企業の従業員等の人材育成機能を持たせる。
※地域(地域の課題)を研究の対象から、人材育成の場に変える。
4.社会貢献
- (1)
- 大学全体での地域貢献
学部や学科、ないしは、教員ごとに個々別々に行われてきた地域貢献活動を、大学として統一的且つ体系的に行うことにより、その質を高め、幅を拡大し、貢献の実効性を高める。 - (2)
- 大学と地域との関係の緊密化
学生・教職員のボランティア活動の活性化、地域でのインターンシップの拡大、地域の学校教育・社会教育への積極的貢献、大学の施設の地域への積極的開放等の施策を通して、大学と地域との関係を一層密にする。
■連携自治体別 財政力指数グラフ・人口推移グラフ
《出典》
- 国勢調査(大正9年〜平成22年)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?tocd=00200521 - 地方公共団体の主要財政指標一覧(総務省。平成15年度〜平成24年度)
http://www.soumu.go.jp/iken/shihyo_ichiran.html