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COC+事業

事業概要

山形県は、47 都道府県の中で、三世帯同居率1 位、社長輩出率2 位という、働きやすく、事業継承・起業をしやすい環境にあります。ところが人口減少率はワースト5 位、高齢化率もワースト5 位という、全国で5 本の指に入る人口減少県です。人口減少の主要因は、若年層に集中した県外流出にあります。過去5 年間の山形県人口の社会減11,895 人のうち20-24 歳人口の社会減は6,490 人で、その過半数を占めます。若年層の転出で山形の経済・社会の空洞化が進むだけでなく、出生率の低い東京圏への人口集中によって日本全体の人口減少に拍車がかかります。また、政治・経済・文化の拠点が国内に一つしかない東京一極集中社会は、今後のグローバル化する世界との競争において不利であり、大災害などのリスクに対しても脆弱です。
そこで、山形県内の各大学等では、学生の地域への関心を高める地域志向科目の充実を図り、学生の地域定着を目指してきました。平成24 年度開始の「大学間連携共同教育推進事業」では山形大学の2事業が採択され、県内外の高等教育機関が協力して学生たちに山形の自然・歴史・文化を学ばせる教育プログラムを構築してきました。平成25 年度開始の「地(知)の拠点整備事業」には山形県内から3校(山形大学、東北公益文科大学、東北芸術工科大学)が採択され、地域志向科目の拡充に取り組んできました。しかし、そうした教育改革にも関わらず、若年層の県外流出は止まっていません。たとえば平成26 年度の山形大学卒業生のなかで、山形県内へ就職した者の全就職者に占める比率は約25%です。若年層の県外流出を押しとどめるためには、地域志向科目の拡充だけでは不十分なのです。
そこで本事業はコーディネーターを活用して、一群の教育科目の開発・整備を行いつつ、その母体となる協働人材育成部会を県内全域に展開して、オール山形の体制で地域に貢献する人材の育成と地方創生事業を推進していきます。

対策1:学外研修科目の開発・整備

卒業生の多くが就職時に県外流出する一つ目の要因は、学生と職場のマッチングができていないことです。現状では、多くの県内企業が人材不足で悩んでいます。また、山形県は人口当たり社長率が長らく1位(2014 年度は2 位)で、事業継承者および起業家が多い環境でもあります。しかし多くの学生が、県内の職場や事業経営の風土への関心を持たないまま卒業を迎えています。就職時の県外流出を抑制するために、学生たちが地域の職場と早期から関わりを持ち、自分たちが地域経済を担うというビジョンを抱く教育改革を進める必要があります。
そこで企業などでのインターンシップが主体となる学外研修科目を開発・整備します。地域と大学のこれまでの連携と、インターンシップ授業などの実績を活かして、山形県全域に展開する学外研修科目の開発を行います。学外研修科目を受講した学生は、職場や社長のファンとなって入社し、あるいは自身が起業家となって地域の就職率向上に結びつくことが期待できます。

対策2:課題解決科目の開発・整備

卒業生の多くが就職時に県外流出する二つ目の要因は、学生と地域社会のマッチングができていないことです。現在、人口減少の渦中にある地域では、若い人材の活躍を求めており、特に地方公共団体や企業、NPO などが抱えている課題を、若者の立場だからこそ可能なやりかたで発見し解決することが期待されています。実際これまでに、県内の各大学が様々な地域課題解決を目的としたフィールドワーク授業を初年次の学生に向けに展開してきました。しかし専門課程に進んだ学生は地域活動の継続が困難になる。また、地域課題解決に熱心な学生の多くが県外出身者であり、卒業後も地域との関わりを続けることを念頭に、そのまま地域に定住する可能性は低いです。
そこで学生が主体となって、地域の大人だけでなく、小・中・高の児童・生徒に対しても、地域や大学の魅力を伝え、発信する課題解決科目を開発・整備します。課題解決科目を受講した学生は、地域を能動的に理解し、地域へ定住する意識が高まることが期待できます。課題解決科目に参加した児童・生徒、そして大人たちに、県内大学に対する興味を持たせ、県内大学進学率の向上を期待できます。

対策3:協働研究科目の開発・整備

卒業生の多くが就職時に県外流出する三つ目の要因は、学生が地方創生のビジョンを抱くことができないことです。いま県内の各大学が、様々な産学官金連携をとおして新産業の創出を試みています。我が国全体の地方創生のためには、日本でも有数の人口減少地域である山形が、地方創生のモデルケースとなる必要があり、そのためには地方創生のビジョンを持った学生の活躍が必須です。だが、学生に新産業の担い手として必要な能力や心構えを身につけさせる教育、あるいは様々な仕事や地域の現状を俯瞰したイノベーションを体験させる教育が、十分に整備されていません。地域の職場でも、有能な学生が活躍できる環境が整っていません。有能な学生は、より活躍の可能性が広がる東京圏あるいは海外へと転出してしまいます。
そこで学生主体で地方創生事業を開拓していく協働研究科目を開発・整備します。学生は、最先端の地方創生事業に携わり、かつグローバル社会へ展開する仕事の現場を山形県内にて体験することで、地域牽引のリーダー、チェンジメーカーへ成長することが期待できます。また国内・世界中から優秀な人材が集まる創造地域として山形を整備することは、移民の受け入れなど、グローバルな観点からの人口減少対策としても期待できます。

対策4:協働人材育成部会の運営

各コーディネーターが事業を推進していくために、それぞれの責任で随時に組織して開催する協議の場が協働人材育成部会です。ここには、教員・学生だけでなく、地方公共団体・企業・NPO など、人口減少に関連した諸問題に関心を持ち、課題の解決に関わりたいと望む人々が参加します。参加者を活用して、学外研修科目の受入れ先の開拓、課題解決科目の受入れ先の開拓、協働研究科目の受入れ先の開拓、および事業全体の開拓を行います。協働人材育成部会の運営によって期待されるのは、人材育成だけではありません。多様な人々の交流で地方創生事業を開拓する場として、地域の人々が人材育成という目的で協働する地域活性化の場としても機能し、全県的に展開します。

事業目標

以上の取り組みを通して、卒業生の地元就職率の向上を目指します。平成27 年の山形大学卒業者のうち地元就職者数は246 人、地元就職率は約25%です。5 年間の間に、地元就職者数を約350 人(100 人増)、地元就職率を約35%(10%増)とします。

いま山形県全体として、地方創生に向けての大幅な雇用増を計画しています。そのためには若者の地元就職率の向上だけでなく、受け皿となる雇用の場を増やすため、産学官金連携による新産業の創出も計画しています。地元就職率の向上による人口減への歯止め、地元経済の活性化による企業成績の向上によって、税収・収益の増加を計画しており、そのことによって更なる雇用増を目指していきます。一連の事業によって、最終年度には、事業開始初年度と比較して、就職者増に対応する150 人の雇用増を目指します。

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