University Social Responsibility.


 近年,一般企業において,その企業の社会的な責任を自覚し,社会貢献活動や法令遵守の状況,不祥事の積極的な公開等によって,ステークホルダーと呼ばれる利害関係者等に対し,説明と理解を求めていくCSR(Corporate Social Responsibility)活動が盛んになっています。
 山形大学では,教育・研究を担う公的サービスを提供する機関として,一般企業以上の社会的責任が求められていると考えています。その社会的責任をUSR(University Social Responsibility)として捉え,社会が山形大学に求めているものは何かということを,常に考え,自覚し,実行して,それを社会の皆様にご理解いただくことで,その責任を果たしていきます。

■安全管理

 山形大学では,約9000人の学生と,1800人の教職員が在籍しています。教職員の研究・労働環境の安全管理については,平成16年度の国立大学法人化により「労働安全衛生法」が適用されることなりました。(それ以前までは国の機関として「人事院規則10-4」が適用されていました。) しかしながら,労働安全衛生法は,雇用契約関係(大学と教職員)にある両者に適用されますが,その関係にない学生については適用されません。
 山形大学では,学生の就学・研究環境の安全管理も,当然ながら重要と考え,労働安全衛生法に準拠した安全管理を学生に対しても行っています。これは学生の在学中の安全確保はもちろん,卒業後に就職する一般企業等においての安全管理の対応についても視野に入れ,一定水準以上のレベルの確保を目的に,安全のための教育を行っています。
 具体的には,関連法規の義務付け以上の資格を有する教員を配置して,学生の指導にあたり,また学生が在学中に関連資格を取得するための指導・支援を行っています。

  「
安全への手引き」

 安全衛生管理の運用マニュアル,学生の講義・実習等での教育や,職場の新人教育等へも使用,利便性と環境へ配慮し,web上で閲覧。


■第三者評価について
 山形大学医学部附属病院では,平成15年1月に財団法人日本医療機能評価機構の認定(一般病院,Ver4.0)を受けました。日本医療機能評価機構の認定とは,良質な医療を患者様に提供するため行われる第三者による審査評価で,書類審査及び訪問審査の結果,全般的に適切と思われる医療が行われている病院に対し,評価機構より認証証が交付されます。
 また,平成16年2月には,患者様に提供する医療の質とサービスの継続的な維持向上を図るため,品質管理の国際標準規格である
ISO9001:2000の認証を取得いたしました。
 医療機能評価の認証は,全国の大学病院では2番目となる取得で,ISO9001認証とのダブル取得は全国で最初となるものでした。
 これらの認証は,公的医療機関としての社会的責任として,第三者からの評価を受けることで,患者様が質の高い医療とサービスを安心して享受していただけることを目的に取得したものです。

医学部附属病院

医学部病院機能評価認定証

ISO9001認定証

■社会的問題への対応について

 山形大学が近年,引き起こした社会的な問題について,その後や対応の施策状況について以下に記載いたしました。

入試過誤について
 本学工学部の平成9年度以降の入学者選抜試験において、このたび重大な過誤のあったことが判明いたしました。受験生の将来を左右するとも言える入学者選抜試験において、誤りは決してあってはならないことであり、多数の受験生の皆様に多大なご迷惑や損害を与えてしまったばかりでなく、入試制度に対する国民の皆様の厚い信頼を損ねたことは、社会的にも極めて重大な事態を引き起こしたものと深刻に受け止め、受験生並びに保護者の皆様そして国民の皆様に対し、深くお詫び申し上げます。

(下記工学部HPより転載)

山形大学が行った措置
■対応組織「対策委員会」等の設置
■専用ホームページ・受付電話の開設
■合格通知書・お詫び状の送付(428名)
■入学意思の確認(428名全員)
■入学式の挙行(2001.06.29及び2001.09.27)
■当事者・関係者(高校・企業等)への訪問によるお詫びと説明
■補償(基金創設,募金)・お詫び金の送付
■入試情報の開示(受験生から請求による自己の試験点数等)
■日本育英会へのお願い(奨学生への採用認められる。)
■新入学学生への対応(アドバイザー教官の選任,合宿セミナー)
■学長及び教員の懲戒処分等(計138名)
再発防止について
■山形大学合否判定過誤再発防止策大綱の概略■

1.各学部入試委員会等の連携・協力

2.作業マニュアル等の作成

3.チェック体制の強化

4.入学試験情報の改善

5.電算処理プログラムの外注化


セクシュアルハラスメントについて

「山形大学におけるセクシュアルハラスメントについて」

1) 山形大学において3件のセクシュアルハラスメントが連続的に報告されたことは誠に遺憾なことであり、被害を受けられた方を始め、関係各位に深くお詫び申し上げます。また、率先して社会における倫理的な規範を示さなければならない大学においてかかる不祥事を起こしたことに対し、学長として責任を痛感しております。
2) 平成15年7月と平成16年4月に被害者からの相談のあった2件に
ついては、適正な時期における学長への報告がなされなかったために、事態が明らかになった時点で加害者である2名の教員はすでに退職しておりました。したがって、適正な処分を行い得ませんでしたが、被害者との間の示談成立などの状況を勘案したとしても、両者とも重い懲戒処分に相当するものだと考えられます。最近被害者からの相談のあった3件目のセクシュアルハラスメントについては、種々の状況を勘案し、停職2ヶ月の処分を行いました。発生したセクシュアルハラスメントに対する適正な措置は、この問題に関する大学の社会に対する説明責任を果たすためにも重要なものであったと認識いたしております。
3) こうした事情を踏まえ、今回の不祥事を招いた責任の所在を明らかに
するために、前工学部長、現工学部長を訓告処分とするとともに、私自身給料1/10 3ヶ月返納の措置をとらせていただきました。
4) 今回の度重なるセクシュアルハラスメント発生の社会的責任をとるた
めの基本は、セクシュアルハラスメント再発防止に向けた山形大学の体制を早急に整備することであると考え、現在、学外の有識者にも参加いただく山形大学セクシュアルハラスメント緊急対策協議会(仮称)の設置を急いでおります。
 ただ、このような会議で問題を検討しただけでは問題の根本的な解決は
得られず、山形大学の全体の構成員の意識改革がさらに必要なのだと思います。そのためには、この問題について、山形大学の構成員全体が真摯な論議を展開し、問題の根本的原因を解明するとともに、抜本的な対策を確立していくことが求められていると考えております。そのような検討の上に立って、大学全体が一丸となってセクシュアルハラスメント根絶への取組を展開していくことによってはじめて真のセクシュアルハラスメント防止体制が築かれるのだと思います。
 以上申し上げたような取組を学長が先頭に立って展開することにより、
セクシュアルハラスメントなど起こらない山形大学の樹立を目指して努力して参りたいと考えておりますので、皆様の御理解を賜りますようお願い申し上げます。


平成16年10月8日

山形大学長 
仙道富士郎

山形大学が行った措置
■「山形大学セクシュアル・ハラスメント緊急対策協議会」の設置
学内者7名・学外有識者3名
再発防止について(PDFは,下記専用ホームページより)
「国立大学法人山形大学におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関する規則」の制定
上記提言を受け,規則を全面改定
■山形大学キャンパス・ハラスメント防止委員会・防止対策委員会の設置
■「山形大学キャンパス・ハラスメント相談員マニュアル」の作成
■「山形大学におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関するガイドライン」の作成
■公表基準の設定
■専用ホームページの開設
■講演会・研修会等の実施(平成17年度分)
■学生・教職員への周知(オリエンテーション・ミニリーフレットの配布等)


 両件とも再発防止のための措置を行い,今後も必要に応じてさらに改善していくこととしています。この2件の再発防止のみならず,公的機関としての社会的責任を全学構成員が充分に理解していくことで,社会からの期待に応えられる大学を目指していきます。


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