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山形大学EDGE-NEXTプロジェクトで生まれたビジネステーマが事業化へ ~ 山形PRE-EVプロジェクト(主体:サニックス)が新技術を搭載した試験走行を 来月実施、事業化指導の成果 ~

掲載日:2021.08.12

本件のポイント

計画発電蓄電制御装置を搭載した実験用トラックを準備中の画像
計画発電蓄電制御装置を搭載した実験用トラックを準備中

  • 国際事業化研究センターがEDGE-NEXT実践編(山形県ものづくりベンチャー創出支援事業)で支援、学術指導契約による指導を継続中の(株)サニックスが、環境省事業終盤を迎え、試験走行段階へ。
  • 山形PRE-EVプロジェクト(主体:サニックス)が取り組むテーマは、CO2排出削減で課題が大きい大型商用車のEV化に対して、計画発電蓄電制御装置により発電機と電池の小型化を実現するもので、実現後の波及効果が大きい。
  • EDGE-NEXT実践編参加企業への伴走型の事業化指導の先行事例になり、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター次世代電池開発室も関与、産学連携の事業成果につながる可能性。

概要

 国際事業化研究センターでは、山形大学EDGE-NEXT人材育成プログラムを、学生、一般社会人を対象に平成29年度(2017年度)から実施しています。このプログラムでは、起業家精神育成を系統的に育成する 基礎編の上に、企業等が設定した具体的なテーマの事業化に向けてきめ細かく指導する伴走型の支援を行う 実践編として、平成30年度(2018年度)から2年間、山形県ものづくりベンチャー創出支援事業の委託を受けて事業化支援を実施してきました。その中で、平成30年度(2018年度)から2年間指導を続けてきた株式会社サニックス(本社:山形市)が、環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業に採択されて、2億円を超える資金調達を得て、事業化活動に着手してきました。テーマは、走行に必要なエネルギーを計算して計画的に発電と蓄電ができる「計画発電蓄電制御装置」を搭載したEV商用車向け装置、PRE-EV(Plug-in Range Extender-EV)の開発で、車載部分を大幅に小型化することで、大型商用車のEV化で課題の貨物積載量が減少することなく、CO2排出量を劇的に削減、EV車対比で低車両価格といった価値を提供する波及効果が期待できる事業です。
 実践編プログラム終了後、令和2年度(2020年度)からは、国際事業化研究センターと(株)サニックスは学術指導契約を締結して、本技術を事業化に仕上げるまでの伴走型の指導を継続し、今年度が2年目に入ります。
 今年が3年間の環境省事業の最終年度ですが、2年目に実施したシミュレーション試験で良い結果が出ており、本技術を搭載したPRE-EVトラックを9月6日より私有地での走行調整を開始、報道陣に試験模様を公開させて頂いた後、車検を取得して、公道走行実証試験を行う予定です。
 本プロジェクトでは、国際事業化研究センターに加えて、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター次世代電池開発室も関係して、電池に関する助言的立場から協力しており、将来的には電池に関わる部分での共同研究につながる可能性もあります。このように、山形大学と(株)サニックスは、EDGE-NEXT実践編から合算で4年目の長期支援の関係になりましたが、継続してきた結果、山形大学と地元企業での事業化連携による先進的な成功事例になり得る成果に繋がってきています。これから、事業パートナーや具体的な事業スキームの構築などの活動が続き、指導を継続、外部関係者の協力も重要になります。本件は、課題解決が明確で大きな波及効果が予想できる旬の事業テーマであり、成果が今後の産業振興への貢献につながると期待されています。

詳しくはこちら(プレスリリース)をご覧ください。

株式会社サニックスの紹介

計画発電蓄電制御装置を搭載したトラックの構成要素の画像
計画発電蓄電制御装置を搭載したトラックの構成要素

 株式会社サニックスは、総合自動車サービス、車検点検整備、“はたらく車”への改造・ボディ制作・板金塗装等の事業を行っている、山形市に本社がある地場成長企業です。
 乗用車の環境対応・電動化・自動運転の技術開発が進む中で、“はたらく車”にも対応が必要になると捉え、「PRE-EVによる運輸事業の低炭素化」を社内の重要プロジェクトに位置付けて、連携による事業化を社内方針に決められました。

環境省・CO2排出削減対策強化誘導型技術開発実証事業

 株式会社サニックスは環境省の「2019年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」公募に対して「商用電動車向け高効率発電蓄電システムの開発・実証事業」のテーマで応募、環境省の合意を経て採択に至り事業を開始しました。
 本事業は、将来的な地球温暖化対策の強化につながり、早期に実用化・製品化・社会実装が見込まれる技術開発・実証事業として、環境省が民間企業等から提案を募集、外部専門家からなる評価委員会において技術的意義、社会的意義、事業化・普及見込みの高いものとして選定されたもので、事業期間3年(2019年度〜2021年度)の委託事業・補助事業として実施されました。総事業費は3年間で総額約3億円になります。

山形大学EDGE-NEXT人材育成プログラム・実践編とその後の個別契約(学術指導契約)の経緯

山形大学は、平成29年度(2017年度)より早稲田大学を主幹機関としたEDGE-NEXTコンソーシアムに参画、文部科学省「次世代アントレプレナー育成事業」の中で独自プログラムを開発、翌年度から教育を開始しました。学生のみならず、企業で新事業の立ち上げを目指すイントレプレナー(社内起業家、企業内起業家)を育成し、企業の新事業化支援も行っています。平成30年度(2018年度)からは、「山形県ものづくりベンチャー支援創出事業」の委託を受けて、EDGE-NEXT人材育成プログラム実践編と位置付けて、具体的な指導を実施してきました。企業、研究者、学生が持つ具体的なシーズ技術や事業アイディアを事業化するために、1年目はハンズオンで顧客価値の策定及びビジネスプランの策定支援を行い、2年目は資金調達などを支援し、事業化、事業拡大を目指すものです。
 (株)サニックスは2018年度EDGE-NEXT実践編の支援企業に採択されました。初年度支援で事業計画書(エグゼクティブサマリー)を完成させ、それをもとに上記の環境省事業に応募、2年目の2019年度に資金調達を達成されました。総額約3億円の事業規模に対して、2億1090万円の資金調達になります。
 獲得した資金を使って技術開発を進める一方で、事業化につなげるための事業企画の活動を並行して進めることが求められており、翌2020年度からは個別の学術指導契約を結び、月2回を目安にした定期打合せを等での指導や必要な情報提供、接点紹介などを行いながら伴走型の指導を続けてきました。
 環境省事業もいよいよ最終年度に入り、開発成果の実証試験、成果のドキュメント化、顧客提案の実施といった具体的な事業化活動ステージに進むことになりました。今後も支援活動を継続していきます。

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