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注目の研究医歯薬学

新規の技術を用いて消化器がんの先制医療(precision medicine)を開発する

掲載日:2019.01.21

教授 上野義之(消化器内科学)

 日本人の死因の大きな要因である「がん」の中では、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌といった消化器病領域に発生するがんが大きな割合を占めています。胃癌でのピロリ菌や肝臓癌での肝炎ウイルスといった分かりやすい危険因子もありますが、まだまだ発生に関して未解明な部分も多く残っています。今の医療レベルでは、できるだけ早い時期に発見して生活に支障がない段階での低侵襲な治療で完治を目指すことが主流です。しかし、日常行っている検査では、内視鏡検査にしても腹部超音波にしてもある程度の大きさにならないと診断は不可能です。一方、分子生物学的な手法によるがん遺伝子の検出法には目覚ましい進歩があり、臨床的な「がん」が出現する数年前に「がん遺伝子」を検出することも可能です。われわれは超高感度に異常遺伝子を検出するデジタルPCR装置を導入して微量のがん遺伝子を検出するシステムの開発をしています。さらに山形大学医学部には山形県民の方の協力によるコホート検体があり、この検体を用いた消化器がんの先制診断の有効性の検証を国立がん研究センターなどとの共同研究で進めています。これを本年医学部附属病院で開始したゲノムホスピタルの検体を用いて検証することも可能であり、この新規の手法を用いて超早期に正確な診断を可能とし、それに基づいた診療、すなわち先制医療(precision medicine)を確立する研究を行っています。

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