ホーム > 新着情報:お知らせ > 2025年04月 > 高分子の分解過程を視覚化し理解する
掲載日:2025.04.01
学術研究院教授 松野 寿生(大学院有機材料システム研究科・工学部担当)
高分子は、英語でmacromoleculeとも呼ばれる巨大な分子ですが、そのサイズはせいぜい数十ナノメートル程度しかありません。とても小さな存在ですが、これがアボガドロ数のオーダーで集まり凝集体を形成すると、肉眼でもわかるサイズとなり素材として使えるようになります。日用品から航空機材まで、さまざまな用途で活躍している高分子材料ですが、近年は、性能の一つとして、河川や海洋環境中で分解する性質を備えることが求められています。そのためには、まず、分解する過程の詳細を知る必要があります。我々のグループでは、原子間力顕微鏡(AFM)を駆使し、ナノの空間スケールで起こる高分子の分解反応を視覚的に捉えることで、そのメカニズムを解明することに取り組んでいます。ラメラ結晶の配向に応じた分解機構などが明らかになってきており、”見る”ことで、より優れた高分子材料の創製に繋がる研究を進めています。
▲原子間力顕微鏡(AFM)
▲高分子分解過程のAFM像