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注目の研究農学

根圏土壌微生物を活用した持続的農業

掲載日:2021.11.21

教授 俵谷 圭太郎(植物栄養学・土壌学)

 リン鉱石はリン酸質肥料の原料であり、日本では産出せず近い将来枯渇すると試算されています。我が国の農業を持続させるためには、(1)リン酸施肥量を削減し、(2)作物によるリン酸の獲得効率を向上させ、最終的には(3)国内においてリン資源を再循環させる必要があります(図1)。
 植物の根の周り(根圏)には多様な土壌微生物が生息しています。アーバスキュラー菌根(AM)菌は、土壌中に外生菌糸を伸張させ植物のリン酸吸収を促進します(図2)。
 しかし、AM菌を作物栽培において利用するための条件はほとんど明らかにされていませんでした。育苗段階でAM菌を接種すると、ネギ栽培においてリン酸施肥量を削減できました(図3)。根と外生菌糸を分割できる2区画栽培により、AM菌Gigaspora margaritaの外生菌糸が有機酸を分泌すること、Rhizophagus clarusの外生菌糸が酸性ホスファターゼを分泌することが示され、AM菌による不可給態リン酸の利用の可能性が示されました(図2)。

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