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注目の研究生物学

遺伝重複で生み出された新しい遺伝子

掲載日:2024.04.01

准教授    渡辺 絵理子 (学士課程基盤教育院担当)

 「遺伝子重複」は、新しい遺伝子を生み出す仕組みの一つです。細胞分裂時に偶然DNAのある部分が重複すると、その部分にのっている遺伝子も二つに増えることになります。二つの遺伝子のうち片方がこれまでとは異なる新しい機能を獲得すると、それが新しい遺伝子となるのではないかと考えられているのです。遺伝子重複により生じたと考えられる遺伝子は数多く報告されていますが、遺伝子が二つに増えた後にその一つが新しい遺伝子となる過程でどのようなことが起きたのかは、わからないことが多いままです。
 アカハライモリのSMIS2遺伝子はSMIS1遺伝子の遺伝子重複により、イモリ科が生まれた後(比較的最近です)に新しく生じたと考えられる遺伝子です。SMIS1遺伝子は受精でのみ働く遺伝子なのですが、SMIS2遺伝子は受精と関係のない場所でも使われていることから、SMIS1遺伝子にはなかった新しい機能を獲得していると考えられます。現在、新たな機能を持つ遺伝子がどのように生み出されるのかを明らかにすべく、ゲノム編集技術などを用いたSMIS2遺伝子の解析を進めています。

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