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注目の研究医歯薬学

サイトカイン研究により慢性炎症の制御を目指して

掲載日:2018.11.11

教授 浅尾 裕信(免疫学)

免疫細胞は病原体や異物の侵入に対して、急性の炎症を起こすことによってそれらを排除・治癒させます。一方、結核菌のように簡単には治らない病原体、口腔内細菌や腸内細菌、アレルゲンのように繰り返し暴露される細菌・異物に対して、免疫細胞は慢性の炎症を引き起こして対応します。ところが、慢性的な炎症は、ときにメタボリック症候群やがんの発生に関与することが知られています。私達は免疫細胞が炎症を起こすために分泌する液性因子(炎症性サイトカイン)の一種であるinterleukin-21(IL-21)に着目して研究を進めています。私達は腸管での異物に対する急性炎症反応であるアレルギー(アナフィラキシー)をIL-21が好中球を介して亢進させることを報告しました。さらに腸管では腸内細菌による大腸炎を悪化させ、大腸腫瘍の発生を促すなど、IL-21が慢性炎症反応にも深く関わることを発見しました。今後これらの研究を発展させ、様々な慢性炎症性疾患の予防や治療に結びつく成果をあげて行きたいと考えています。

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