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山形からがんの「根治」療法を発信!

掲載日:2017.12.15

教授 北中千史(腫瘍分子医科学)

意外かも知れませんが、がんに含まれるがん細胞の大部分はがんを作る能力(再発能)はなく、抗がん剤や放射線に弱いがん細胞です。一方、がん「幹」細胞と呼ばれるごく一部のがん細胞は再発能をもち従来のがん治療に抵抗性があります。従って、従来のがん治療は弱いがん細胞からなる腫瘍の大半を消すことはできてもがん幹細胞が残存し再発が起きるため、延命はできても根治はできませんでした。これに対して私たちはメトホルミンという糖尿病治療薬に悪性脳腫瘍のがん幹細胞を消す効果があることを発見し、世界で初めて動物実験で再発抑制に成功しました(図)。この薬は近々ヒトを対象とした臨床試験が開始される予定です。また私たちは様々ながんの幹細胞維持にJNKと呼ばれる分子のはたらきが必要なことも世界に先駆けて明らかにし、最近になって、ヒトへの安全性が確認されている薬剤の中からこのJNKを抑え再発予防効果をもつものを立て続けに2種類発見しました。山形ががん根治療法開発のメッカと呼ばれる日を心待ちにしながら、私たちは日々奮闘を続けています。

メトホルミン治療(-):矢頭で囲まれた広い範囲が再発脳腫瘍の画像
メトホルミン治療(-):矢頭で囲まれた広い範囲が再発脳腫瘍

メトホルミン治療(+):再発腫瘍は認められないの画像
メトホルミン治療(+):再発腫瘍は認められない

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