ホーム > 研究 > 注目の研究 > 医歯薬学 > 膵癌に対する集学的外科治療を確立するための研究
掲載日:2022.11.21
教授 元井 冬彦
本邦死因第1位は悪性新生物=癌ですが、中でも膵癌は治療が最も困難で生存率が低い病気です。2022年には年間38,900人が膵癌で死亡すると推定され*、増加傾向が続いています。予防・早期発見法がなく、ほとんどが進行癌で発見されます。手術だけでは90%が再発死亡しますが、手術以外の治療法で治癒は望めないため、手術に化学療法等を組み合わせた集学的外科治療(図1)に期待が寄せられています。
本年4月より重粒子線が切除不能膵癌に保険適応となりました。私たちは、多剤併用化学療法と重粒子線治療を逐次的に行い(Yu-PANC-01)、治療が奏功している患者さんにコンバージョン手術**を行う集学的外科治療(Yu-PANC-02)の安全性と有効性を検証する臨床試験を準備しています。付随して重粒子線治療後の切除検体を解析して治療効果を詳細に解析します(Yu-PANC-03)(図2)。一連の研究が、膵癌治療の新たな地平を開き、一人でも多くの方が救命されることを目指します。
* がん情報サービス https://ganjoho.jp/reg_stat/index.html
**診断時点で切除が不能・困難な状態で、化学療法等の治療が奏功した後に行われる根治手術