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掲載日:2024.11.11
教授 浜本 洋(感染症学講座)
薬剤耐性菌の蔓延に対抗するためには、既存の治療薬とは全く異なる抗菌治療薬の開発が必要不可欠です。しかしながら、近年、新規作用機序の治療薬の開発は困難を極めています。その中で、私達はカイコ黄色ブドウ球菌感染モデルを用いた治療効果を指標とした、ユニークな探索系により、新規抗生物質ライソシンEの同定に成功しました(図1)。ライソシンEの殺菌活性は非常に強力で、1分以内で生菌数を0.1%以下に低下させます。これまでの研究によって、ライソシンEの標的は細胞膜中に存在する、細菌特有の電子伝達系の補酵素メナキノンであることを明らかにしています。細胞膜中のエネルギー生産に関わる小分子を直接標的として狙い、殺菌活性を示す抗菌薬はこれまで知られておらず、全く新しい作用機序になります。しかしながら、その高い殺菌活性を示す理由については未だ不明です。我々の研究ではそのメカニズムの詳細について解析し、ライソシンEを難治性の黄色ブドウ球菌感染症にも有効な次世代の治療薬としての開発を目指しています。