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注目の研究医歯薬学

心不全の病態に迫る

掲載日:2020.10.26

教授 渡辺 昌文(内科学)

 心臓は血液を身体中にめぐらせるポンプの役割をしています。様々な心臓病の進行で心機能が低下すると心不全になります。私たちの主要な研究テーマのひとつが、心不全の病態を解明し、新しい治療の開発を目指すことです。

 これまでに、高畠研究などの臨床研究から、腎臓機能低下・栄養不良・貧血が、心不全の予後を悪化させることを報告してきました。さらに、心不全の病態を解明するために、マウスを用いた研究を行っています。高橋徹也医師は、細胞内HMGB1蛋白質が、心臓への圧力負荷で発生するDNA損傷を押さえ、心不全を軽減させることを示しました(図1)。豊島拓医師は、マイクロRNA-34aを抑制することで、心臓の弁の石灰化を押さえ、心不全の原因となる弁膜症の進展を軽減させることを示しました(図2)。

 最近は、心不全と腎不全の相互作用に注目して、遺伝子改変マウスを用いた研究を進めています。私たちは、高齢者の主要な死亡原因となる心不全の病態を解明し、健康寿命を延ばすことを目指しています。   

図1:心筋細胞のDNA損傷に対するHMGB1の効果(Takahashi T, et. al. JACC Basic Transl Sci. 2019)の画像
図1:心筋細胞のDNA損傷に対するHMGB1の効果(Takahashi T, et. al. JACC Basic Transl Sci. 2019)

図2:マウス心臓の弁膜症に対するマイクロRNA-34a抑制の効果(Toshima T, et. al. Cardiovasc Res. 2020)の画像
図2:マウス心臓の弁膜症に対するマイクロRNA-34a抑制の効果(Toshima T, et. al. Cardiovasc Res. 2020)

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