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掲載日:2024.08.09
山形大学医学部歯科口腔外科 講師 石川 恵生
唾液は非侵襲的かつ簡便に採取できる生体材料です。私たちは唾液を使って、口の中にできる病気(口腔がん等)を検出する研究を行ってきました。唾液中の物質を全体的に調べてみると、口腔がん患者、口腔潜在的悪性疾患(口腔がんになるかもしれない病変)患者、そして健常者では唾液中の物質の濃度が大きく異なっていることが分かりました(図1, 2)。これらの結果から、口腔がんを約82%の精度で健常者と判別する物質を同定しました(図3)。
また唾液は全身を表す鏡といわれており、口の中の状態だけでなく、全身の健康状態を反映することが知られています。そのため、私たちは肺がんや胃がんなど全身のがんを唾液で検出する研究も行っています。さらに疾患だけでなく、ストレスや疲労といった状態を検出する物質の同定にも取り組んでいます。
唾液を使った簡単な検査で全身状態を把握・理解できるように、これからも研究を発展させていきたいと思います。