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注目の研究医歯薬学

感音難聴の新規病態に基づいた治療法の開発

掲載日:2021.11.01

教授 欠畑 誠治(耳鼻咽喉・頭頸部外科学)

 「隠れ難聴」って聞いたことがありますか?
 音はちゃんと聞こえるのに、騒がしい場所では言葉が聞き取りにくかったり、早口の人の声が聞き取りにくいなど、「隠れ難聴」に悩む人が増えています。通常の聴力検査では問題がない最近明らかになった病態です。

 音を受容する蝸牛では、有毛細胞が音の振動を感知し、有毛細胞-聴神経間シナプスを介して聴神経にこの信号を伝達しています。この聴神経を介して中枢に音の信号が伝えられていくことで、私達は音を認識します。

 隠れ難聴は、cochlear synaptopathy(蝸牛シナプス病理)という聴神経・シナプスの異常が成因の一つであることがわかってきました。ほとんどの感音難聴には現在も有効な治療方法はなく、補聴器などの補助装用具が使用されています。

 当研究室では、神経・シナプスの再生・保護効果が報告されているROCK阻害薬に着目し、感音難聴の成因であるcochlear synaptopathyに対する有効性について研究を行っています。聴神経・シナプスの再形成のみならず、聴覚機能にも改善がみられる治療法として期待がもたれています。

聴覚再生研究グループ(ハーバード大学にて)の画像
聴覚再生研究グループ(ハーバード大学にて)

図1.新生児マウスの蝸牛を上方から観察した写真
(赤-有毛細胞、緑-聴神経、青-細胞核)の画像
図1.新生児マウスの蝸牛を上方から観察した写真
(赤-有毛細胞、緑-聴神経、青-細胞核)

図2. 図1の拡大図(赤-有毛細胞、緑-聴神経)の画像
図2. 図1の拡大図(赤-有毛細胞、緑-聴神経)

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