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注目の研究化学

固体NMRで物質の局所構造を探る

掲載日:2024.06.03

教授 飯島隆広(物理化学)

 核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)分光は,物質の局所的な構造を調べるための有力な方法です.NMRでは1H, 13C, 15Nといった核スピンI = 1/2核を共鳴核として用いることが多いですが,周期表中の多くの元素は核スピンが1/2を超える四極子核です.我々は,2H (I = 1), 11B (I = 3/2), 95Mo (I = 5/2), 49Ti (I = 7/2), 93Nb (I = 9/2)などの四極子核を積極的に活用し,多様な物質を対象とした構造解析を行っています.
 最近の共同研究では,高性能燃料電池などへの応用が期待される六方ペロブスカイト関連酸化物を対象としました.Ba7Nb4MoO20は高い酸化物イオン伝導度とプロトン伝導度を持ち,かつ化学的安定性も高い材料です.本研究では,93Nbおよび95Moの固体NMRを測定し,共鳴X線回折や第一原理計算の結果を組み合わせることで,物質中の隠れた化学的規則性を見出しました(プレスリリースはこちら).
 他にも,触媒表面へ吸着した分子の構造解析や,混合原子価ポリ酸の分子および電子スピンの構造解析などを行っています.

NMR周期表の画像
NMR周期表

固体NMRのプローブの画像
固体NMRのプローブ

触媒研究への応用例の画像
触媒研究への応用例

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