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掲載日:2020.10.28
▲提供:国立感染症研究所
山形大学学術研究院大村一史教授(認知神経科学)は、ジョージア大学を中心とした、コネティカット大学およびカリフォルニア大学サンフランシスコ校との国際的な共同研究により、新型コロナウイルス感染症拡大状況下における自然に対する世界観と心理的健康の関係に文化的コンテクストが及ぼす影響を明らかにしました。オンライン調査を用いて、新型コロナウイルス感染症拡大状況下における日本とアメリカの比較を通じて検討したところ、両国において、自然との調和の世界観を持つことは良好な心理的健康と関係していました。一方で、日本人と比較して、アメリカ人は自然を支配する世界観がネガティブ感情とより強く結びついていました。これらの結果は、新型コロナウイルス感染症拡大のような非常事態状況下にあっても、文化によらず、自然と調和した世界観を持つことが心理的健康にとって良好な影響を及ぼすことを示しています。
自然との調和を求める世界観は、心の平穏をもたらすために人類普遍的に内在するものであり、生命や自然を好む生得的傾向があるとするバイオフィリア仮説※2を支持するものと言えます。また、アメリカ人は自然を支配しようとする世界観が強いほど、ネガティブな感情を抱きやすいという結果は、アメリカ人と日本人では、物事の変化や矛盾に対する寛容さや中庸をとろうとする傾向、認知的不協和※3における感受性に違いがあることにもとづくものと解釈されます。
本研究成果は、心理学分野の国際学術誌Personality and Individual Differences誌に掲載されました。(2020年10月10日オンライン版掲載)
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