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注目の研究複合領域

幼児期の運動遊びと入学後の体力

掲載日:2017.10.25

教授 鈴木和弘(身体教育学)

 

私は幼少年期の子どもの体力向上や健康、ライフスタイルの問題を追究してきました。このテーマを追い続けて既に30年以上が経過しています。研究の原点は「未来を担う子ども達のために何ができるのか?」にあります。

写真1.本学学生によるリズムダンス運動遊びの指導の画像
写真1.本学学生によるリズムダンス運動遊びの指導


ところで、国家レベルでの子どもの体力向上への取り組みは「子どもの体力向上実践事業」(文科省)として2004年から3年間、小学生を対象にスタートしました。2007年からは幼児を対象として、この事業が2015年まで継続することになります。私はこれらの事業にも参加しながら、研究を続けてきました。そのポイントは、教育現場で活用可能な「多様な運動プログラムの開発」とそれらを適用した効果の検証です。プログラムは子ども目線で「面白くて、ためになって、楽しい」ものであることが必須要件となります。

写真1は幼児のための運動プログラム開発の一例です。私たちが「リズムダンス運動遊び」と呼んでいるものです。山形県長井市の幼児を対象に2年間(2014~2015年)実践してきました。勿論、他の運動遊びも数多く取り入れてきました。これらの実践はすべて通常の保育時間中(参加群;60~90分/週1~3回、午前中実施)に行います。

図1は小学校入学後の体力合計点の結果です。図2は体力合計点を偏差値でみたものです。研究的な視点でみれば、標本数も十分とは言えません。しかし、幼児期の取り組みが、少なからず入学後の体力に影響を及ぼすことが示唆されたと言えます。今後も実践を継続しながらデータを蓄積し、他の変数を加味しながら、その後の変化も追跡していこうと計画しているところです。

図1.体力合計点の比較(2016年度入学)の画像
図1.体力合計点の比較(2016年度入学)

図2.参加・不参加群の体力偏差値の画像
図2.参加・不参加群の体力偏差値

参加群:男子53名、女子49名,不参加群:男子56名,女子:39名
参加群:一般保育中の多様な運動遊びプログラムへの参加(2年間)
不参加群:一般保育中心(運動遊びや遊戯等も含む)(2年間)

*注1)基準データ:「平成27年度体力・運動能力調査報告書」(平成28年10月、スポーツ庁)

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