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造礁サンゴはどのように骨格をつくる?

掲載日:2023.05.01

助教 甕 聡子(地球科学分野鉱物学)

 造礁サンゴは熱帯、亜熱帯の浅海に生息する動物です。炭酸カルシウム(CaCO3)の外骨格をつくりながら海面に向かって成長します。炭酸カルシウムには原子配列の違う同質異像としてカルサイトとアラゴナイトの二つの鉱物があることが知られています。造礁サンゴの生息する温度圧力条件下では、熱力学的にカルサイトが安定相です。しかし、造礁サンゴは熱力学的には高圧相であるアラゴナイトで骨格を形成しています。どのように造礁サンゴはアラゴナイト骨格を形成するのでしょうか。

 造礁サンゴの形成場は1µm以下と大変狭く、骨格形成を直接観察することは困難です。私たちは製造物である骨格を鉱物学的手法を用いて観察し、骨格の成長について研究しています。最近では造礁サンゴを特殊な環境で飼育し、その骨格がアラゴナイトであるかカルサイトであるかを調べた結果、これまで指摘されてきた海水中のMg2濃度のほかに、造礁サンゴと共生関係にある褐虫藻もアラゴナイト形成に関係している可能性を示しました。

 今後も鉱物学をベースにまだわからないことの多い造礁サンゴの骨格形成過程の解明に取り組んでいきます。

<i>Acropora</i> sp.骨格の画像
Acropora sp.骨格

人工飼育中のサンゴ。小さい点々が褐虫藻の画像
人工飼育中のサンゴ。小さい点々が褐虫藻

偏光顕微鏡写真<i>Acropora</i> sp.骨格薄片の画像
偏光顕微鏡写真Acropora sp.骨格薄片

偏光顕微鏡写真<i>Acropora</i> sp.骨格薄片の画像
偏光顕微鏡写真Acropora sp.骨格薄片

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