ホーム > 研究 > 注目の研究 > 人文学 > 新地上絵の発見~「舌を伸ばした動物」の地上絵をナスカ台地で発見しました
掲載日:2016.04.19
教授 坂井正人(文化人類学)
「舌を伸ばした動物」の地上絵
平成27年度の現地調査において、「舌を伸ばした動物」の地上絵を発見しました。見つかったのはナスカ台地(ペルー共和国イカ県ナスカ市)の中央部で、地上絵の全長は約30メートルあります。胴部には斑点のような文様があり、胴部から足のように見える突起部が多数伸びているのが特徴です。現実の動物を写実的に描いたのではなく、空想上の動物が描かれたと考えられます。
制作時期
今回発見した地上絵は、地表の小石を面状に取り除いた白い面と、取り除いた小石を積み上げた黒い面によって構成されています。この技法はハチドリの地上絵が描かれたナスカ期以前の、パラカス後期(前400~前200年頃)の地上絵に特徴的です。
地上絵と巡礼路
「舌を伸ばした動物」の地上絵のすぐ近くに、以前、山形大学ナスカ調査団が発見した「斬首の場面」の地上絵があります。両者は同じ技法で描かれている上、なだらかな斜面に描かれているため、人間の目の高さから地上絵の形が識別できます。両地上絵の間に古い道があり、その先に当時の大神殿カワチがあります。このことから、2つの地上絵はカワチ神殿への巡礼路にそって描かれたと考えられます。