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掲載日:2023.01.05
准教授 池田弘乃(法哲学)
社会における性別の二分法というものの不思議さが気になって研究を続けています。特に、法制度の中で性がどのように扱われているかを、フェミニズムと呼ばれる思想(であり運動)を参照しつつ考えてきました。フェミニズムは毀誉褒貶の激しい思想ですが、人々が性別の二分法というものをあたかも自明の前提であるかの如く思考し、行動していることへの新鮮な驚きを常に喚起し続ける「問い」の集合体として捉えるなら、そこには大きな可能性があるように思っています。現在の日本では、法律上の性別が同じ者同士では婚姻をすることができません。また育児や介護といったケアにまつわる責任が公正に分担されているとはいえない現実があります。これらの課題を糸口としながら、多様な価値と利害が交錯する現代社会において、「両性の本質的平等とは何か」、「性に関する多様性とどう付き合っていけばよいのか」といった問題を粘り強く考え続けていきたいと思っています。