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福祉国家のウラ側

掲載日:2022.01.11

講師 源島 穣(政治学・行政学)

 私は福祉国家論、特に就労による社会統合についてイギリスを中心に研究しています。「福祉」と聞くと、医療や年金、介護、育児など「オモテ」の部分が思い浮かぶはずです。「オモテ」の福祉を実施するためには財源が必要です。財源は就労を通じた税や保険料の徴収によって調達されます。就労は福祉国家を支える「ウラ」の部分です。

 福祉国家は就労による社会統合も果たしてきました。どんな国民も働く見返りに、福祉を受けられるからです。しかし近年、就労による社会統合に限界が生じています。最たる例が「移民」です。イギリスだけでなく世界中で反移民勢力が台頭しているように、移民は就労していながらも十分に社会統合されていないのです。

 日本も、2018年に入管法が改正され事実上の移民受入を決定しました。イギリスと同じく本格的な移民社会が到来するかもしれません。人口減・労働力不足の山形県も例外ではありません。今後は、就労による社会統合ができること/できないことの両側面を総合的に研究する予定です。

W.ベヴァリッジ。戦後イギリスの社会保障制度の礎を築く(出所:wikimedia commons)の画像
W.ベヴァリッジ。戦後イギリスの社会保障制度の礎を築く(出所:wikimedia commons)

かつて工業都市として栄えたマンチェスター市の一角。長期的な衰退に悩む当市では地域再生事業が継続的に実施されているの画像
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