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「創造」の立役者たる編集者に注目

掲載日:2023.11.01

准教授 合田陽祐(フランス文学・芸術)

 文学作品は「作家」と「編集者」の共同作業の産物である――現在ではよく知られたこの発想が誕生するのが、私の研究する19世紀後半のパリの文壇です。フランスでは編集者は出版業務のみならず、文芸誌や文学集団等の組織運営の要でもありましたが、伝統的に「作家主義」の文学研究では、その役割が等閑視されてきました。他方でフランスの資料館には、著名編集者と作家たちの往復書簡や各種記録が保管されています。当時の出版界の舞台裏を雄弁に語るこれら貴重資料を網羅的に調査・検討したうえで、近代文芸の成立に編集者の直接関与が不可欠であったことを証明するのが、私の研究課題です。現在、メディア論や草稿研究などの専門家からなる総勢25名のチームをフランスで組織し、共同で研究を進めています。昨年度は文科省の国際共同研究員としてパリに滞在して、研究会やシンポジウムを組織してきました。さらに今後の研究では、編集者以外にも、文学に携わるさまざまな専門職や制度にスポットライトを当てていくことを考えています。

研究対象の編集者アルフレッド・ヴァレットの画像
研究対象の編集者アルフレッド・ヴァレット

筆者が校訂作業に加わった全集の画像
筆者が校訂作業に加わった全集

フランスのシンポジウムで発表する筆者の画像
フランスのシンポジウムで発表する筆者

特別閲覧室で作業するチームのメンバーの画像
特別閲覧室で作業するチームのメンバー

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