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掲載日:2017.12.05
▲研究対象:19世紀末の文芸誌
私の専門はフランス文学で、とくに19世紀末の象徴派を研究しています。最近の文学研究では、文学と社会の関係に焦点をあてる傾向があり、私もその角度から象徴派の出版活動を検討しています。世紀末のフランスでは300誌以上の雑誌が創刊され、作家が社会にメッセージを発信する主要なメディアとして機能するようになりました。こうして文芸の場が単行本から定期刊行物にシフトすると、作家のみならず都市圏の購読者の生活リズムにも大きな変化をもたらしたわけです。
我々のいる現代は、資料のデジタル化が進んではいるものの、基本的にはこの19世紀末の文芸モデルの延長線上にあります。その意味で、文芸誌の発展がパリの言論空間にいかなる影響を与え、社会における作家の役割がどう変化したのかを解明することは、現代社会の成り立ちを問うことに直結するのです。現在フランス人研究者のチームと共同で調査を進めているので、得られた研究成果は国外でも公表していきます。
▲ある文芸誌の同人たちのつどい
▲研究調査の場:フランス国立図書館