ホーム > 研究 > 注目の研究 > 数物系科学 > トポロジカル ソリトン:宇宙の化石
掲載日:2025.05.12
物質をバラバラにすると原子→原子核→核子→素粒子と細かい構造が見えて来ます。これまで17種類の素粒子が見つかり、素粒子が従う自然法則は素粒子標準模型として纏められています。私は素粒子物理学における位相的ソリトンが引き起こす現象について研究しています。この研究には2つの大切な概念があります。対称性(例えば2等辺3角形は左右対称)とトポロジー(連続変形で移り合う形は全部同じ:ドーナッツ=マグカップ)です。これらはどちらも形に関する概念で素粒子と関係するようには見えないかもしれませんが、138億年前にビッグバンから始まった宇宙が膨張するにつれて冷えていく過程で、素粒子に関するある対称性が自発的に破れると位相的ソリトンが生成されます。このため、位相的ソリトンがいつ出来てその後どうなったかを知ること=宇宙の歴史を理解することです。このことからソリトンは宇宙の化石とも呼ばれています。私はコンピュータによる数値シミュレーションなども利用しながら、宇宙の究極の理論の解明を目指して日々研究をしています。
▲素粒子標準模型を表す数式
▲トポロジーの例
▲宇宙紐(位相的ソリトン)の数値シミュレーション