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法の国際的「調和」を考える

掲載日:2016.11.25

教授 コーエンズ久美子(商法)
 

 金融というと企業の資金調達の側面から、銀行等からの融資や投資家に対する株式、社債の発行が中心に論じられていましたが、1980年代以降、IT技術の発展とともにさまざまな新しい手法が開発されています。これらは、資金調達のニーズに応えるとともに、投資家の投資機会を格段に増加させました。
 同時に、投資対象である株式、社債などの「取引」もまた、従来の「証券」(紙)のやりとりからIT技術を利用したシステム上の「記録」に変わりました。この仕組み自体は世界的に共通ですが、これを支える法律は国によって異なります。それでも経済成長に伴う投資ニーズの拡大により、市場のグローバル化が進展し、クロスボーダー取引も増大しています。法的な構成はともあれ、実質的に投資家の権利がどの国でも同様に守られ、安心して投資できる法的環境作りが重要です。そして、こうした「法的調和」の必要性は、商取引のさまざまな場面で強く認識されています。
 それぞれの法文化を尊重しながら、機能的に同様の法的効果をいかに確保するか、といった問題意識を共有する米国人研究者と共同研究を続けています。法的概念や理論の違いを超えて、文献だけでは読み取りきれない法的・社会的状況を確認し、それぞれの視点から分析、議論しています。こうして得られた研究成果を、引き続き国内外に発信していきたいと思っています。 

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