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メンタルタイムトラベル(心的時間旅行)としての記憶

准教授 行動科学・認知心理学・感情心理学

小林 正法(こばやし まさのり)

出来事の再体験としての「思い出す」

「いま」から「過去」や「未来」へというタイムトラベルは様々な作品の題材として取り上げられてきました。このようなタイムトラベルと関わる心の働きに「記憶」があります。「記憶」と聞くと暗記やテストを思い浮かべるかもしれません。例えば、みなさんの人生で最も楽しかった出来事を思い出してみてください。おそらく出来事の内容を思い出すだけではなく、その時の気持ちもありありと感じられるのでないでしょうか。個人的経験を思い出す際には過去の出来事を「再体験」するような感覚を伴います。

「いま」から見た「過去」

時には、受験勉強や失恋などのように当時は辛かったけれど、いまから見たら別の印象を持つ出来事もあるかもしれません。心の中で「いま」の自分が「過去」に飛び、その出来事を再体験していると言えます。このような「再体験感」と「いまからみた過去」という2点から、過去に経験した出来事を思い出すことはメンタルタイムトラベル(心的時間旅行)だと言われています。

記憶の持つ役割や機能とはなにか

私は、このような特徴を持つ「記憶」という心の働きがどのような機能や役割を持つのかを明らかにしたいと考えています。