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「生きている」とは何か?
分子レベルから生命を理解する生物化学の世界

 

教授 ライフサイエンス/細胞生物学

田村 康(たむら やすし)

細胞の多機能工場:ミトコンドリア

ミトコンドリアは細胞が生きるために必須のエネルギー(ATP)を生産する細胞の発電所としての役割が有名ですが、実はエネルギー以外にも、アミノ酸、リン脂質、ヘム、鉄・硫黄クラスターなど様々な物質を作る多機能工場なのです。私たちはこのミトコンドリアが細胞内でどのように作られ、その適切な形や量が維持されるのかについて興味を持って研究しています。

 

ミトコンドリアの脂質研究

これまでのミトコンドリア研究はミトコンドリアに存在するタンパク質の機能解析が中心で、ミトコンドリア膜の主成分である脂質に関する研究はあまり行われていませんでした。しかしミトコンドリアを作るためには、ミトコンドリア膜の主成分である脂質分子に着目した研究が必須です。水に溶けづらい脂質分子が、細胞の水分子がたくさん含まれる領域を横切って、どのようにミトコンドリアへ移動するのか、私たちの研究によって、その仕組の一端がわかってきました。

脂質研究からオルガネラ間コンタクトサイトの研究へ

これまでオルガネラは自身の膜内に特徴的な酵素群を隔離、濃縮することで独自の機能を発揮するため、空間的に独立して存在すると考えられてきました。しかし脂質の研究を進める過程で、異なるオルガネラ間が直接結合するコンタクトサイトがあり、そこを介して脂質分子がやり取りされていることがわかってきました。このような生物の教科書を塗り替えるような最先端の研究を進めています。