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掲載日:2025.10.14
有機化学と界面科学を基盤とした機能性ソフトマテリアルの研究を展開しています。中でも注目されるのが、酸化還元応答性を有する「フェロセン界面活性剤」です。フェロセンは独自のサンドイッチ構造を持つ有機金属化合物であり、外部刺激に対して安定かつ可逆的な電子応答を示します。本研究室では、この特性を界面活性剤に導入することで、自己組織化したベシクル構造が酸化還元状態や金属イオンの存在によって崩壊・再形成する挙動を制御可能にしました。これにより、薬物を一時的に内包し、刺激に応じて放出を制御する薬物送達システム(DDS)への応用が期待されています。また、クラウンエーテルなどの官能基を組み込むことで、金属イオン選択性や分子認識能を併せ持つ高度に機能化されたソフトマテリアルの創製が可能となります。フェロセン界面活性剤研究は、分子レベルの構造制御に基づく新しい刺激応答性材料科学を切り拓くものであり、基礎化学と応用展開を橋渡しする先駆的研究です。


