PICK UP 研究

山形大学の特筆すべき研究を紹介! 世界を牽引する研究の世界を覗いてみよう!

工学部

世界トップレベルの研究成果で
有機EL開発を黎明期から牽引。

城戸淳二 教授

電子・光機能性材料

 LEDが白熱電球や蛍光灯に取って代わっていったように、次なる光源としてじわじわと台頭してきているのが有機ELです。有機ELとは、プラスチックに代表される有機材料を精密な分子構造の設計により、電気を流す半導体とし、電気的に発光させるエレクトロルミネッセンスのこと。携帯電話のディスプレイに採用されているほか、大型有機ELテレビも発売され、活躍の幅を広げてきています。世界で初めて白色有機ELを開発した人物こそが、大学院有機材料システム研究科の城戸淳二教授です。当時は、有機ELで白く光らせることは不可能だと考えられていましたが、城戸先生は理論を疑い、常識を覆そうと実験を重ね、1993 年についに白色発光に成功。以来、有機EL 研究開発の第一人者としてその進化を牽引し、有機EL 照明の分野を切り拓くとともに大型有機 ELテレビの基盤技術も開発しています。

「環―WA―(有機ELシャンデリア)」
太陽光に近い優しい光で、ゆらぎを持たせながら照らすことができるスタイリッシュなシャンデリア照明です。

 そんな城戸先生のもとで学びたいと「城戸・笹部・千葉研究室」への所属を希望する学生は多く、日本全国はもとより海外からもここ山形を目指してやって来ます。現在では有機ELのみならず、有機太陽電池や有機トランジスタなども展開しており、研究室にはこれらの幅広い研究テーマを行うために必要な有機化学合成のための装置や薄膜物性評価、デバイス作製・評価のための装置など、ほとんどあらゆる研究が可能な体制が整っています。恵まれた研究環境のもと、先生方の厳しくも愛ある指導を受けた学生たちは、材料合成からデバイスまで、基礎から応用・実用まで、幅広いセンスを身につけることで、研究職から技術者、商社マン、ベンチャーなど、様々な分野でイキイキと活躍できる人材へと成長を遂げます。

「有機ELツリー」
それぞれのパネルがゆったりと蛍のように点滅するやすらぎを与えるオブジェです。

「有機ELスタンド」
非点灯時には有機ELパネルが見えないデザイナーズスタンド照明です。

映像で、照明で生活が変わる
有機ELがかなえる明るい未来。

 有機ELの最大の特長は、薄い、軽い、やわらかい、そして面で光るために光が自然光に近く目にやさしいということ。これらの特長を活かした、もはや壁紙のような超薄型テレビや上質でやわらかい照明が徐々に普及してはいますが、本格的な実用化にはコスト等の課題もあり研究はまだまだ続いています。さらに、有機ELには私たちの生活スタイルを変えてしまうほどの可能性があるとして、城戸先生等は他大学や企業との様々な共同研究も進行中です。壁一面のスクリーンでSF 映画さながらに遠隔家族とバーチャル団らん、心地よい眠りと目覚めをコントロールできる照明など、地道な研究と自由な発想によって明るい近未来を創造する現場の一員になってみたいとは思いませんか。

PROFILE

城戸淳二 教授

電子・光機能性材料

山形大学大学院有機材料システム研究科教授。大阪府出身。ニューヨークポリテクニック大学大学院(工学博士号)。本学着任は1989年。世界で初めて白色有機ELの開発に成功。